- 著者
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橋本 晃
工藤 忠明
奥田 恭之
- 出版者
- 岐阜大学
- 雑誌
- 岐阜大学農学部研究報告 (ISSN:00724513)
- 巻号頁・発行日
- vol.53, pp.403-412, 1988-12-25
ウサギ12羽(日本白種色8羽,ダッチ種4羽)を用い,超音波画像診断法による妊娠の経過における胎子及び胎盤の発育過程を観察し,併せてそれらの画像所見と肉眼的所見との比較も行った。胎包は妊娠8日目に,ほゞ円形のエコーフリーの嚢胞様画像として比較的容易に描出された。9日目には,胎芽に由来する点状エコーが胎包内に描出され,妊娠の確定診断が可能となった。胎子の四肢,肋骨弓及び胃を示す画像は,それぞれ妊娠14日目,17日目及び20日目から描出できた。心臓拍動は14日目からリアルタイム画像で明瞭に観察された。胎動は16日目からわずかに認められ,20日目頃から活発となった。頭蓋骨の画像には,化骨に由来する音響陰影が23日目頃から観察できた。28日目頃には,脊椎や肋骨も明瞭に描出され,胎子の開口動作も頻繁に認められた。一方,胎盤は最初,胎包腔内へ隆起する小エコーとして描出され,胎盤が発達するにつれて,円盤状ないし半円形の均質なエコーあるいは内部が低エコーの短冊状のエコーとして観察された。今回の検索成績から,超音波画像診断法は,ウサギの妊娠経過に伴って変化する胎子及び胎盤の観察に有用なことが明らかにされた。正常妊娠ウサギで観察された種々の画像所見は,妊娠中に生ずる胎子及び胎盤の病的変化を診断するための指標として利用できると思われた。