著者
福士 秀人 小川 晴子 森腰 俊亨 奥田 恭之 島倉 省吾 平井 克哉
出版者
岐阜大学
雑誌
岐阜大学農学部研究報告 (ISSN:00724513)
巻号頁・発行日
no.50, pp.p259-263, 1985-12
被引用文献数
2

クラミジア補体結合抗体の保有状況を愛知および岐阜両県のウシ1,048頭,ブタ544頭,ならびに茨城県,岐阜県および東京都のウマ1,103頭について調査した。ウシの平均抗体保有率は30.2%で地域差が認められた。ウマでは茨城および岐阜両県で2.8%および1.0%にそれぞれ抗体が認められた。ブタでは主に種雄豚で0.7%が抗体陽性であった。このように,わが国の家畜にクラミジア感染症が存在することが示唆された。
著者
橋本 晃 工藤 忠明 奥田 恭之
出版者
岐阜大学
雑誌
岐阜大学農学部研究報告 (ISSN:00724513)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.403-412, 1988-12-25

ウサギ12羽(日本白種色8羽,ダッチ種4羽)を用い,超音波画像診断法による妊娠の経過における胎子及び胎盤の発育過程を観察し,併せてそれらの画像所見と肉眼的所見との比較も行った。胎包は妊娠8日目に,ほゞ円形のエコーフリーの嚢胞様画像として比較的容易に描出された。9日目には,胎芽に由来する点状エコーが胎包内に描出され,妊娠の確定診断が可能となった。胎子の四肢,肋骨弓及び胃を示す画像は,それぞれ妊娠14日目,17日目及び20日目から描出できた。心臓拍動は14日目からリアルタイム画像で明瞭に観察された。胎動は16日目からわずかに認められ,20日目頃から活発となった。頭蓋骨の画像には,化骨に由来する音響陰影が23日目頃から観察できた。28日目頃には,脊椎や肋骨も明瞭に描出され,胎子の開口動作も頻繁に認められた。一方,胎盤は最初,胎包腔内へ隆起する小エコーとして描出され,胎盤が発達するにつれて,円盤状ないし半円形の均質なエコーあるいは内部が低エコーの短冊状のエコーとして観察された。今回の検索成績から,超音波画像診断法は,ウサギの妊娠経過に伴って変化する胎子及び胎盤の観察に有用なことが明らかにされた。正常妊娠ウサギで観察された種々の画像所見は,妊娠中に生ずる胎子及び胎盤の病的変化を診断するための指標として利用できると思われた。
著者
島倉 省吾 葛谷 光隆 鎌数 眞美恵 吉田 徹也 奥田 恭之 津久美 清 福士 秀人 平井 克哉
出版者
岐阜大学
雑誌
岐阜大学農学部研究報告 (ISSN:00724513)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.209-216, 1984-12-15

家禽及び野鳥の大腸菌による感染症については多くの報告がある。しかし,愛玩鳥における報告は少ない。著者らは,1982年4月から1983年12月までの間に愛知県内の某卸売業者へ輸入され,輸入後3週間以内に斃死した愛玩鳥911羽を検査した。これらの愛玩鳥は,ヨーロッパ及び北米以外の世界各国から輸入され,特にアジア及びオセアニアからのものが大半を占めていた。大腸菌は,検査した911羽中345羽(38%)の肝臓,肺臓及び肺から純粋に分離された。分離大腸菌191株についてOK血清型別をした。病原大腸菌OK血清では,01:K51に3株,025:K1に4株,0119:K69に2株,0125:K70に7株及び0148:K[○!+]に1株,計17株が,アルカレッセンス・ジスパーOK血清では,01:K1に1株,02:K1に17株及び04:K3に3株,計21株,合計38株(20%)が血清型別された。腸炎毒産生性は,LTを139株及びSTを61株について調べた両画毒素共にその産生性が確認された菌株はなかった。191株について薬剤感受性を調べたが,155株(81%)が耐性で,この155株のうちTC耐性をもつ菌が153株あった。なお,単剤耐性菌は84株,多剤耐性菌は71株で,単剤耐性菌の検出数が多かった。愛玩鳥由来大腸菌の血清型別及び毒素原性について調べた報告は極めて少ない。これらの愛玩鳥は捕獲後,人の生活環境で感染し捕獲,輸送などのストレスが発症,斃死の誘因となったものと考えられた。従来わが国では報告されていない血液型の病原大腸菌が検出され,公衆衛生及び家畜衛生の両面から深く憂慮されるから,今後愛玩鳥の衛生管理に格段の留意を要する。