- 著者
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奥田 和子
渡邊 裕季子
- 出版者
- 一般社団法人日本調理科学会
- 雑誌
- 調理科学 (ISSN:09105360)
- 巻号頁・発行日
- vol.24, no.2, pp.130-135, 1991-05-20
4種類の箸,普通(20.2cm),短い(16.5cm),長い(23.5cm),特注品(21.5cm)を用いて女子大生に太巻き寿司を食べてもらい,箸の使い易さについて5項目について5段階評価してもらった。<箸の持ち易さ>,<寿司の持ち易さ>,<海苔の切り易さ><具のつかみ易さ>,<寿司の食べ易さ>のすべての項目において,普通の長さの箸の方が短い箸または長い箸よりも高い評価であった。普通の長さの箸の総得点に比べて短い箸では約22〜51%,長い箸では約9〜55%低かった。また,普通の箸と特注品(手の長さの1.25告)では,特注品の方が使い易いという評価のものが47%あり,総得点でも普通の箸よりも約6〜46%高かった。短いおよび長い箸はともに使いにくいことがわかったので,手にかかる負担も大きいのではないかと考えてポリグラフを用いて筋活動量を測定した結果,母指内転筋,短母指外転筋ともに筋活動量が大きい傾向がみられた。手の長さと身長との間には,高度に有意な相関が得られた。外食化の傾向が高まるなかで,女子大生にとっては,食べ易さの面からは長い箸も短い箸も好ましくない。また高級化志向のために長い箸を用いることは,森林資源の有効利用の面からも得策とはいえない。