- 著者
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松原 仁
半田 剣一
- 出版者
- 一般社団法人情報処理学会
- 雑誌
- 情報処理学会研究報告知能と複雑系(ICS) (ISSN:09196072)
- 巻号頁・発行日
- vol.1994, no.83, pp.21-30, 1994-10-04
- 被引用文献数
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チェスにおいては分岐因子などのゲームとしての性質が調べられているが、将棋については広く公表されたものが存在しなかった。ゲームをプレイするためのアルゴリズムを考える際に、あるいは将棋をチェスや囲碁など他のゲームと比較する際にこれらの情報は重要である。現在プロの棋譜を収集して分析している。そこで得られたいくつかの知見を報告する。将棋の平均分岐因子は、これまで一般に信じられてきた値よりはかなり小さく80前後(母集団の取り方によって90程度から70程度までばらつきがある)。しかしこの結果はコンピュータ将棋がこれまで信じられてきたよりやさしいということは必ずしも意味しない。最も勝負に影響する中盤から終盤にかけては平均百数十手の分岐因子が存在するので、チェスと同じ方法でコンピュータ将棋を強くすることはできないものと思われる。