著者
松原 仁 半田 剣一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告知能と複雑系(ICS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.83, pp.21-30, 1994-10-04
被引用文献数
2

チェスにおいては分岐因子などのゲームとしての性質が調べられているが、将棋については広く公表されたものが存在しなかった。ゲームをプレイするためのアルゴリズムを考える際に、あるいは将棋をチェスや囲碁など他のゲームと比較する際にこれらの情報は重要である。現在プロの棋譜を収集して分析している。そこで得られたいくつかの知見を報告する。将棋の平均分岐因子は、これまで一般に信じられてきた値よりはかなり小さく80前後(母集団の取り方によって90程度から70程度までばらつきがある)。しかしこの結果はコンピュータ将棋がこれまで信じられてきたよりやさしいということは必ずしも意味しない。最も勝負に影響する中盤から終盤にかけては平均百数十手の分岐因子が存在するので、チェスと同じ方法でコンピュータ将棋を強くすることはできないものと思われる。
著者
半田 剣一 浜田 喬
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.482-489, 1985-05-15

高級言語の使用により 信頼性の高い分散処理システムを効率的に記述できる.本論文は分散処理システム記述用の高級言語DPLと そのプログラムを目的計算機上で実行するための仮想計算機DOVEについて述べている.DPLはプロセスを単位とした分散処理プログラムを従来の並列プログラミングの手法を使って記述できるPascal系の言語である.DPLは任意のノード上に動的にプロセスを生成でき それらプロセス間の通信はノードの違いを意識せずに手続き呼出し型の形式で記述できる.またプロセスの同期にはguarded regionを採用し システム機能に必要な柔軟な処理が記述可能である.DPLシステムは システム全体を統合的に記述したDPLプログラム自身と 各ノードにあたる計算機のアーキテクチャの相違を吸収しプログラム実行をサポートする仮想計算磯とに階層が分かれる.後者はDPLシステム内のすべてのノード上に実装されるべきソフトであり DOVEはとくに親ノード上の仮想計算機としての機能をもっている.実際のノード間データ通信もDOVEがサポートするものであるが データ型式の統一によりその処理は非常に簡潔なものとなった.実行テストは単一計算機でのシミュレートであるが 十分DPLおよびDOVEの有用性を確かめられるものであった.