著者
若林 芳樹
出版者
地理科学学会
雑誌
地理科学 (ISSN:02864886)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.53-75, 1994

本研究は,行動地理学の領域とその構成を明らかにするために,欧米で刊行された3つの教科書をとりあげ,それぞれで採用された用語と文献を手がかりとしながら,内容分析を行なったものである。まず,採用された用語と文献の教科書間での重複状況を分析した結果,29の用語と52の文献が共通項として摘出された。その内訳は,行動科学に由来するものが多く,行動地理学の学際性を表わしていた。一方,データ収集法や数理モデルに関する記述量,時間地理学や人文主義的研究の位置づけなどの点では,教科書による差異がみられた。次に,共通項として摘出された用語と文献について,それらが引用された箇所を章単位に集計したデータに因子分析を適用し,行動地理学の構成を検討した。その結果,行動地理学の共通項は,環境知覚や意思決定モデルを土台とした基本的概念と,居住地移動,消費者行動,都市問題・都市計画,メンタルマップ,災害知覚などの応用事例から構成されることが明らかになった。また,人文主義的研究も共通項を構成する一成分として摘出されたが,その取り上げ方には教科書による違いが認められた。

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有料か。無念 CiNii 論文 -  行動地理学の主要概念とその構成 : 欧米の教科書に関する内容分析 http://t.co/MJlrIsGp5v

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