- 著者
-
落合 仁司
- 出版者
- 日本宗教学会
- 雑誌
- 宗教研究 (ISSN:03873293)
- 巻号頁・発行日
- vol.79, no.3, pp.629-651, 2005-12-30
本論はキリスト教や仏教といった世界宗教を数学的に表現し解析する試みである。宗教は、その哲学的な表現である存在論あるいは形而上学と同様に、科学と同じ意味における検証可能性は持ちえないが、論理的一貫性を問うことは出来る。数学もまた検証可能性は持ちえないが論理的一貫性は問われねばならない。そこに宗教分けても存在論として哲学的に表現される宗教を数学的に表現し解析する可能性が開けて来る。本論はまず第一節において、キリスト教や仏教といった世界宗教を哲学的に表現しうる存在論を提示し、続いて第二節において、その存在論によるキリスト教と仏教の哲学的な表現を試みる。これを受け第三節において、宗教を数学的に表現しうる可能性を持つ数学である集合論の基本的な結果を整理し、最後に第四節において、その集合論による宗教の数学的な表現と解析を試みる。