著者
上條 俊介 松下 康之 池内 克史 坂内 正夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.83, no.12, pp.2597-2609, 2000-12-25
被引用文献数
51

画像上での車両のトラッキングは, 画像処理をITSにおける事故などの異常事象検出に適用するための基礎技術として重要である.しかし, 車両トラッキングでは, 従来から最も困難な課題の一つとしてオクルージョンの問題があり, 安定したトラッキングを実現することが困難な状況であった.特に, 我々の研究では大きな交差点を対象としているため, 平均20台程度の様々な大きさ, 形状の車両が様々な動きをし, オクルージョンも様々な条件で生じる.こういった状況でのトラッキングには, 従来の直線走行や空いている状況に適用していた.線形軌道予測や車両形状モデルを仮定するものとは異なるパラダイムが必要とされる.この問題を解決するために, 我々はMarkov Random Fieldモデルを時空間画像に拡張適用し, 1枚の画像中のみならず, 時空間画像中の隣接した画像同士でテクスチャの相関や移動物体軌跡の連結の確からしさを評価するアルゴリズムを考案した.更に, この時空間MRFでの表された画像のエネルギー分布を確率緩和過程で最適化した結果, 様々な状況でのオクルージョンに対しロバストなトラッキングが可能となった.この時空間MRFを混雑状況での約25分間の交差点画像に適用し, 3214台の通貨車両をトラックした.その結果, オクルージョンが生じていない車両に関しては99%以上の確率でトラッキングが成功し, オクルージョンを生じている541台に対しては95%程度の確率で複数台の車両を分離したトラッキングに成功した.このアルゴリズムでは, 車両形状モデルなども仮定せず, 濃淡画像から得られる情報のみを用いることで実現できるため汎用性が高く, また安定性も高いことから, 交差点における事故検出などへの応用が期待される.

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こんな論文どうですか? 時空間Markov Random Fieldモデルによる隠れにロバストなトラッキングアルゴリズム(上條 俊介ほか),2000 http://t.co/pTNGoAK2XF
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