著者
福本 恵美子 川崎 浩二 飯島 洋一 高木 興氏
出版者
有限責任中間法人日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.298-306, 1997-07-30

乳臼歯隣接面初期齲蝕に対して,フッ化ジアンミン銀を塗布した後の象牙質への齲蝕進行抑制期間と,それにかかわるリスク要因を比例ハザード統計を用いて検討した。昭和61年4月〜平成7年4月までの間に長崎大学歯学部附属病院予防歯科外来を受診し,平成9年1月まで追跡した患児52名,130歯(第1,第2乳臼歯間隣接面に初期齲蝕を有する歯牙)を対象として咬翼法X線写真を用いて調査を行った。齲蝕進行にかかわる要因については,診療録や質問表などの資料から6項目を選択した。その結果,フッ化ジアンミン銀塗布によりエナメル質から象牙質への齲蝕進行は1年後で91%,2年後で71%,3年後で65%,4年後で54%が抑制されることが推測された。歯種における齲蝕進行抑制の違いは認められなかった。要因別では「フッ化ジアンミン銀塗布時の齲蝕深度1/3以上」「寝る前の飲食の有無」「デンタルフロス使用の有無」「フッ化物洗□の有無」の順で齲蝕進行度が高かった。さらに,各々の要因は単独ではなく,相互に関連を有しながらフッ化ジアンミン銀塗布による齲蝕進行抑制に関与していると考えられた。つまり,フッ化ジアンミン銀塗布に加え,定期的なX線診査などの歯科医院での専門的ケアとデンタルフロス,フッ化物応用などの家庭での自己ケアの連携によって,約5割が4年間,切削・充填などの侵襲的処置を受ける必要がないことが明らかとなった。

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