著者
吉野 秀幸
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. I, 人文科学 (ISSN:03893448)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.1-14, 2005-02-21

以前筆者は, N.Goodmanの音楽記号論には「スコアの例示」に関して彼が規定し損なっているシンボルが存在すると指摘したことがある。(S1)と名づけたこのシンボルについて,当時はその考察範囲がLanguages of Artに限られ,またそれが現実の演奏の中でどのように機能するかについては未解決のままであった。本研究の目的は,Languages of Art以外にも射程範囲を拡大し,(S1)に音楽のシンボルとしての明確な地位を与えることにある。このようなところに目的を定めたのも,Languages of Art以降の文脈に(S1)が位置づけられると考える根拠があるからにほかならない。とりわけ本研究は,GoodmanがLanguages of Artとそれ以降とにおいて「作品」概念に変更を加えている点に注目する。この点が(S1)の問題と実によく符合すると思われるからである。したがって,今回の主な仕事は,Goodmanによる作品概念の変更と(S1)のシンボル上の地位との接点を見出すことにある。それによってGoodmanの音楽記号論を再検討し,新しい作品概念と(S1)とを組み入れた形で音楽の例示システムを改めて提示することを試みたい。

言及状況

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CiNii 論文 -  N.Goodmanの作品概念 : 音楽の例示システム再考(第I部門) http://t.co/nM2YYM2J #CiNii 質的研究における研究設問の刈り込み方の参考になるのではないかとして、ある先生から教えていただいた論文。難しくて途中で投げ出したw

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