著者
馬場 靖雄
出版者
東京大学
雑誌
社會科學研究 (ISSN:03873307)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.27-48, 2005-03-30

ニクラス・ルーマンの社会システム理論を踏まえて,近代社会を機能的に分化した社会ととらえ,そこにおける「法の支配」の意味について論じる.法を初めとする機能分化したシステムは,それぞれ独自の二分コードを用いて,社会内のあらゆる事象をテーマとして扱う.システムの外にある社会的環境(法にとっての道徳など)もまた,コードを通して,システム内において扱われる.この意味で機能システムはそれぞれ閉じられており,法が扱いうるのは法から見た社会的環境のみである.したがって法の支配が及ぶのは,法自身が投影した社会の範囲内でしかない.しかしこのように閉じられたシステムが相互に影響しあうなかで,いくつかの制度は改変され難いものとして固定されるに至る.基本権はそのひとつである.

言及状況

Twitter (1 users, 1 posts, 0 favorites)

これくらいか?http://t.co/8Hn0vaIPJp

収集済み URL リスト