著者
佐藤 岩夫
出版者
東京大学
雑誌
社會科學研究 (ISSN:03873307)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.81-108, 2005-03-30

日本の違憲審査制の現実の運用の特徴として違憲判決が極めて少ないことはよく知られている.その原因についてはさまざまな指摘があるが,その1つとして,内閣法制局による厳格な事前審査の存在があげられることがある.それによれば,内閣法制局による法律の厳格な事前審査の存在が裁判所の事後的な司法審査の機能領域を小さなものにしている.本稿は,この説明の妥当性を比較法社会学的な手法を用いて検証し,厳格な事前審査の存在が直ちに事後的な司法審査の機能領域を縮小させるのではなく,裁判所が自らの役割について一定の選択をしているという媒介要因(司法の役割観judicial role conception)が重要であることを主張する.

言及状況

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しかし、佐藤岩男先生の「違憲審査制と内閣法制局」(<特集>「法の支配」の現代的位相)(https://t.co/XzPgnGl9Dk)によると、内閣法制局と同じように事前審査の仕組みを持つフランスでは1970年以降、憲法院において度々違憲判決が出ているという。独も同様のようだ。つまり独立して判断しているのだ。
しかし,日本国憲法施行後60年近くになる期間で , 最高裁判所が 法律を違憲としたのは (中略) の5種6件に過ぎない https://t.co/H0Q7q5JKNy
日本の違憲審査制の現実の運用の特徴として 違憲判決が極めて少ないことはよく知られている. その原因についてはさまざまな指摘があるが, その1つとして, 内閣法制局による 厳格な事前審査の存在があげられることがある . https://t.co/H0Q7q5JKNy

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