著者
伊達 聖伸
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.81, no.3, pp.531-554, 2007-12

フランスの政教関係を定めた「ライシテ」の原理は、いわゆる近代社会の基本的原則たる政教分離を最も徹底させたものだとしばしば見なされている。それを裏づけるように、フランスのライシテは、「アメリカの市民宗教」-教会から切り離されたユダヤ=キリスト教の文化的要素が政治の領域に明白に見て取れる-とは構造を異にすると分析されている。だが、この差異から、フランスでは政治の領域に宗教的次元が存在しないという結論が導けるわけではない。事実、研究者のあいだでは、ライシテ(およびこの原理に即した近代的な価値観)を市民宗教などのタームでとらえることの妥当性が問われている。本稿では、彼らの議論の一部を紹介しながら、市民宗教の五類型を提示し、ライシテがいかなる条件において、どのような意味での「市民宗教」に近づきうるのかを、ライシテの歴史の三つの重要な節目-フランス革命期、第三共和政初期、現代-におけるいくつかの具体例を通して検討する。

言及状況

はてなブックマーク (1 users, 1 posts)

[宗教と政治] 後で読もう

Twitter (10 users, 11 posts, 7 favorites)

CiNii 論文 - 伊達聖伸 ライシテは市民宗教か https://t.co/0uwqwAYxSN #CiNii
伊達聖伸「ライシテは市民宗教か」<https://t.co/GLXeMBPyVC>2007年のもののようだが、ヴェール狩りの横行により、ライシテが「不寛容な市民宗教の系譜に連なる」可能性を指摘している。2010年のブルカ禁止法が意味するものは果たして何だろうか。
後で読もう / “CiNii 論文 -  ライシテは市民宗教か” http://t.co/4DXmMLnyKA
[MM読了] CiNii 論文 -  ライシテは市民宗教か http://t.co/RQSBvnwaQu ★★★★☆ その良し悪しは別として、フランスは徹底的に政教分離の法則を取り入れている。かつてはカトリックが勢力を上げていたが、今や公共空間に宗教的な意味合いのも…
CiNii 論文 伊達 聖伸  ライシテは市民宗教か http://t.co/XiAx0bGl #CiNii

収集済み URL リスト