著者
馬場 伸彦
出版者
甲南女子大学
雑誌
甲南女子大学研究紀要. 文学・文化編 (ISSN:1347121X)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.A75-A82, 2007

雑誌『犯罪科学』において,1930年代に登場した新しい「グラフ・モンタージュ」は,その実践者である堀野正雄,また写真評論家として活躍した伊奈信男や板垣鷹穂らによって,西欧で勃興した「新興芸術」の流れの中に位置づけられている。「グラフ・モンタージュ」と名付けられた一連の作品評を概観してみると,移入初期においては直裁的な翻訳のようであったが,その後試行錯誤を経て次第に独自の表現形式を獲得していったことが分かる。そこには社会の暗部や裏面をメディアの視覚を媒介にして安全かつ刺激的に覗き見たいという大衆の欲望が表象され,また,「シナリオ」を必要としたその構成と形式は,写真報道と映画を架橋する新しい表現であったにちがいない。

言及状況

Twitter (8 users, 9 posts, 6 favorites)

堀野正雄は1931~33年に『中央公論』や『犯罪科学』で複数の写真とテキスト(共同制作者のフォト・シナリオ)を組み合わせた「グラフ・モンタージュ」を掲載、都市生活や工場労働など社会的なテーマを扱う。のちにレイアウトの技法は対外宣伝雑誌の主翼に。 https://t.co/60lgRGKOLX #美学・芸術学特講
こんな論文どうですか? 堀野正雄とグラフ・モンタージュ : 再構築されるメディア的現実(馬場 伸彦),2007 https://t.co/T06zoWbn1Q
CiNii 論文 -  堀野正雄とグラフ・モンタージュ : 再構築されるメディア的現実 http://t.co/ePsNWvKA

収集済み URL リスト