著者
坂井 素思
出版者
放送大学
雑誌
放送大学研究年報 (ISSN:09114505)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.33-40, 2007

この小論では、なぜ日本にコーヒー浸透という現象が起こったのか、あるいは日本人はなぜコーヒーを好きになったのかというテーマを考えてみたい。幕末の開港とともに、日本の税関はそれぞれの港で貿易統計を取るようになった。このため、外国との取引貿易品、なかでもとりわけ農産物は全て記録されることになった。明治の初めから、日本がどれだけのコーヒーの生豆を輸入したのかがほぼ完全に把握できることになる。これで見ると、1920年代から1930年代にかけて輸入量が累積的に多くなるという現象が観察される。この小論では、なぜコーヒーが浸透したのか、という点をめぐって、1920年代から始まるコーヒーブームに焦点を当てて、その理由を考えた。以上の結果、喫茶店によるネットワーク型消費の展開、世界のコーヒー市場の影響、都市化と覚醒文化の進展、などが社会経済要因として挙げられるという結論が得られた。

言及状況

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“1920年代から始まるコーヒーブームに焦点を当てて、その理由を考えた。以上の結果、喫茶店によるネットワーク型消費の展開、世界のコーヒー市場の影響、都市化と覚醒文化の進展、などが社会経済要因”
“1920年代から始まるコーヒーブームに焦点を当てて、その理由を考えた。以上の結果、喫茶店によるネットワーク型消費の展開、世界のコーヒー市場の影響、都市化と覚醒文化の進展、などが社会経済要因”

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<小ネタ> 坂井 素思の「コーヒー消費と日本人の嗜好趣味」には、日本にコーヒーが浸透した歴史的背景が描かれているわよ。 https://t.co/L7dseJio4A
“元来、消費は個人の欲求を通じて実現されていくものであると経済学では考えられてきたが、日本では大衆化の過程で、集団的な消費の形態を取るような現象を多く見ること ができる。(…)コーヒーはこの典型例である。” https://t.co/0KXxu3k5nd
“ところが、1923年の関東大震災の後から、急激に喫茶店数が増加する。(…)東京の喫茶店数が60倍以上になったというのは大変な伸びである。つまり、喫茶店が一つ増えると、そこには複数の顧客が付いているので、その顧客が顧客を呼ぶ” https://t.co/0KXxu3k5nd
“供給がたびたび過剰になる状況があった。とりわけ、 大消費地であったヨーロッパは、第一次世界大戦でコ ーヒー輸入を控えたので、コーヒー価格が低迷した。ブラジルをはじめとするコーヒー生産国は、この余剰のコーヒー豆の消費地を探していた” https://t.co/0KXxu3k5nd
“1920年代から始まるコーヒーブームに焦点を当てて、その理由を考えた。以上の結果、喫茶店によるネットワーク型消費の展開、世界のコーヒー市場の影響、都市化と覚醒文化の進展、などが社会経済要因” / “CiNii 論文 -  コー…” https://t.co/jGZYfFz94Z

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