著者
能勢 裕子 亀山 慶晃 根本 正之
出版者
日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.185-191, 2009-11

全国的に個体数の減少が著しいギンランの生育地内保全を図るため東京都立川市にあるギンラン自生地に調査枠を7ヶ所設け、2006年4月から2007年6月にかけて草丈、葉長、葉数、花数及び基部直径を調査した。ギンランは両年とも4月上旬に出芽、5月中旬までに地上部の伸長成長が停止した。2007年6月中旬に、調査した194個体のうち23個体を掘り取り、総ての個体について2cm間隔で根部の横断片を作成、顕微鏡下で菌根菌感染細胞の占有面積を計測した。ギンランにおける菌根菌感染率は不定根から生じた分枝根で最も高く、次いで不定根の先端、中間、根元の順で高いという傾向があった。各個体の花数、葉面積、乾物重量のそれぞれと菌根菌感染細胞面積の間に強い正の相関が認められた。したがって共生する菌根菌量の多少がギンランの生育に強い影響を与えていると考えられ、ギンラン個体群を自生地で保全するためには、菌根共生の維持が重要だと考えられる。

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同じく混合栄養性で樹木に依存するギンランについて、日本語のオープンアクセスの論文を。http://t.co/cosOZVIJlD 保全生態学研究、2009。 森林総研構内ではうっかりするとキンランと一緒に除草されてしまう。

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