著者
内藤 可夫
出版者
人間環境大学
雑誌
人間環境論集 (ISSN:13473395)
巻号頁・発行日
no.8, pp.1-13, 2009

『悲劇の誕生』の刊行直後に書かれている『ギリシアの悲劇時代における哲学』には、後にニーチェ独自の思想の中心ともなった「生成」を説くヘラクレイトスが解釈されている。ニーチェは解釈に際して「人格」の理解を求めており、一方、哲学体系自体は中心的なテーマになっていない。ハイデッガーによるこの解釈に対する批判は元初の思索に誤解を与えた点にある。だが、それにもかかわらず、ニーチェの古代ギリシアへの思索に意義があるのは、異文化のもっとも深い認識に達した人間の理解への試みを通じて、彼自身が、自分自身の内に全体的なものへと関わる仕方(人格のあり方)を見出そうとした点にある。ニーチェにとっての人格とは、理性と生の全体との関係のあり方のことを意味しているのである。

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ついでにバフチンの重要概念「人格」との比較のために https://t.co/MWjsWniZqz
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