著者
安永 明智 谷口 幸一 野口 京子
出版者
文化学園大学
雑誌
文化女子大学紀要. 人文・社会科学研究 (ISSN:09197796)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.63-72, 2011-01

本研究は,全国の70歳以上の高齢者を対象に,郵送法による質問紙調査法を用いて,服装や流行への関心と外出着の着装基準,外出の頻度,ボランティアや町内会活動への参加,QOLとの関係を横断的に検討することを目的とした。2010年1月に全国の70歳以上の高齢者850名に調査票を郵送し,568名(男性274名;平均年齢76.0±44歳,女性294名;平均年齢75.8±4.7歳)から回答が得られた(有効回答率66.8%)。調査は,自分や他人の服装への関心,流行への関心,外出着の着装基準,外出の頻度ボランティアや町内会活動への参加,生きがい,抑うつ,活動能力について質問した。分析の結果から,(1)高齢女性は,高齢男性と比較して,自分及び他人の服装への関心や流行への関心が高く,外出着の着装基準においても,個人的服装嗜好,流行,機能性,社会的服装規範を重視すること,(2)服装や流行への関心が高い高齢者は,低い高齢者と比較して,外出着の着装基準において,個人的服装嗜好や流行,機能性,社会的規範を重視すること,(3)服装や流行への関心が高い高齢者は,低い高齢者と比較して,町内活動やボランティア活動に積極的に参加していること,そして活動能力や生きがい感も高く,メンタルヘルスも良いこと,などが明らかにされた。本研究の結果は,高齢期において,装いに関心を持つことが,生活の質(Quality of Life;QOL)の維持・増進に貢献しうる可能性があることを示唆する。

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