- 著者
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林 鎭代
- 出版者
- 関西国際大学
- 雑誌
- 研究紀要 (ISSN:13455311)
- 巻号頁・発行日
- vol.13, pp.15-25, 2012-03-31
日本の昔話には,"人にあらざるもの"が いろいろと登場する。"天狗","河童","大蛇","鬼"等である。とりわけ,"鬼"は,恐ろしい存在として子どもに伝えられてきた。"鬼"の話には,同じ話が複数の地域にある場合と,その地域にのみある場合とがある。そうした昔話を教育現場で活用しようと,再編集したものが「読みがたり」である。「読みがたり」の話は,おおよそ基本に従って分類されているが,中には同じ話が異なって分類されている場合もある。これは,子どもに伝えたい教育的内容が異なったことから分類も異なったものと思われる。 "鬼"は,長きにわたり『避けるべきもの』『退治すべきもの』と子どもに伝えられてきた。しかし,近年のグローバル社会化を受けて『多様性を認めよう』『相手の立場を思いやろう』と"鬼"を通して伝えることも変化してきた。今後も,"鬼"は生き続ける限り変化していくであろう。