著者
吉田 純
出版者
一般社団法人 社会情報学会
雑誌
社会情報学 (ISSN:21872775)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.55-63, 2012

本稿は,ギデンズの再帰的近代化論を手掛かりとして,再帰性概念が社会情報学において担いうる理論的意義を明確化することに向けての,予備的な考察をおこなう。再帰的近代化論によれば,社会の情報化のプロセスは,「モダニティの徹底化」としての再帰的近代化の本質的構成要素であることが指摘できる。情報化の帰結として出現したインターネット上のCMC空間の特性には,再帰的近代化の構成要素である「脱埋め込み」と「再埋め込み」との両側面がみられ,その両者を再帰性概念により統一的な視点から説明することができる。したがってCMC空間は,情報化が再帰的近代化の本質的構成要素であることを例証しているとみることができる。ただし,以上の考察は,直接にはCMC空間のみを対象としている点で,限定的な範囲にとどまっており,再帰性概念を,一方では社会情報現象一般を説明する概念として一般化すること,他方では現代の情報テクノロジーに固有の社会情報現象を説明する概念として分節化することが今後の課題となる。この課題を追求していくうえで,正村俊之の情報空間論が有力な理論的手掛かりとなることが期待される。

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CiNii 論文 - 吉田純,2012, 再帰性概念の社会情報学的意義についての予備的考察(<特集>社会情報学からの発信) http://t.co/CoHkzYXUQC #CiNii

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