- 著者
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柳 文珠
- 出版者
- 一般社団法人 社会情報学会
- 雑誌
- 社会情報学 (ISSN:21872775)
- 巻号頁・発行日
- vol.2, no.1, pp.17-29, 2013
本稿は,韓国においてインターネット文化の改善を目的とするインターネット実名制の導入過程について概観し,さらに,デッグル数という量的要素の変化に注目しながら,インターネット実名制の影響に関する考察を行う。まず,選挙掲示板の実名制の導入は,新たな政治参加手段として成長したインターネットの威力に対して警戒を強めた政界の積極的な主導によるものであった。それに対し,一般掲示板の実名制(制限的本人確認制)は,インターネット上で発生した一連の出来事が世間を騒がせるなど社会問題化したことをきっかけに,法的規制の必要性を訴える声が高まったため,比較的世論の支持を受けて導入に至るようになる。次に,インターネット実名制の施行後,韓国におけるインターネット空間にどのような変化が生じているのかを検討するため,ポータルサイトDAUMが提供するニュースに付けられたデッグル数の推移を分析した。その結果,デッグル数は,制限的本人確認制の施行直後と長期的な期間において減少していることが明らかになり,デッグルを用いた意見表明の活発さが萎縮している可能性が示唆された。