- 著者
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小坂 啓史
- 出版者
- 日本福祉大学
- 雑誌
- 日本福祉大学子ども発達学論集 (ISSN:18840140)
- 巻号頁・発行日
- no.6, pp.21-29, 2014-01-31
本稿は, 福祉社会学でのケアをめぐる研究において, ケアの場に対する相互行為分析の応用可能性, 有効性について検証することを目的とした方法論的考察であり, とくにエスノメソドロジーに焦点をあててその確認を行った. まず, ケアを 「ケア」 として成立せしめている状況は, その場における人びとの相互行為によってつくられることを確認した上で, 社会福祉の近接領域での比較的数少ない先行研究のうち, 2 つを検討した. その結果まず第 1 には, 科学的理論化の態度が他者理解の本質とはなりえず, それが根ざす他者と共にある社会的場面での実践においてケア (療育) が問われるべきで, そのための経験的研究が促されることについて確認しえた. また第 2 に, エスノメソドロジーの観点に基づくビデオエスノグラフィーを用いた研究について検討し, この方法がケアの場のように言葉を介さないような空間においても分析が有効であること, さらに社会福祉領域でのケアに関しても応用可能であるとみなされ, ケアという相互行為の社会学的解明にとって有効であることが確認できた.