著者
湯原 悦子
出版者
日本福祉大学
雑誌
日本福祉大学社会福祉論集 (ISSN:1345174X)
巻号頁・発行日
no.130, pp.1-14, 2014-03-31

親や配偶者など大切な存在が要介護状態になったとき,それまでの関係性から,できる限り自分が介護を担いたいと考える者は少なくない.このような気持ちを尊重し,かつ,介護者を支えるシステムを社会に構築するためには,我々は介護というものを社会にどのように位置づけ,支援の充実を図ればよいのだろうか.本稿では,はじめに日本における家族介護者支援の政策を振り返り,不可避の「依存」と依存者をケアする「依存労働者」が必然であることを確認し,依存者と依存労働者を国家が保護を講ずるべき対象としての家族ととらえ,ケアに伴う二次的依存を解消していく考え方を示した.また,自分と親密な関係にある他者を自分の手でケアする権利は「ケアすることを強制されない権利」に裏付けられていなければならないこと,ケアの関与のありようを各自の状況に応じて選ぶことができる状態を作り出すために,関係性へのニーズを権利と捉える視点が有効であることを示した.

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@hk_setsu 高齢者自身による介護を受ける権利とは視点を逆転させて、家族が介護をしたいという思いをどう根拠づけるかについて、上述の上野の論も引きながら論じているものに、湯原悦子「家族介護者支援の理論的根拠 」があります。ご参考までに。すでにご存知でしたらすみません。 https://t.co/28mh0B9TYV

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