著者
森川 美絵
出版者
国立保健医療科学院
雑誌
保健医療科学 (ISSN:13476459)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.129-135, 2009-06

フィンランド,ドイツ,アメリカ合衆国における介護人材の確保育成策について,インフォーマルな介護者への対応も含めた取り組みの概要,介護従事者の確保・労働条件改善にむけた施策,および,専門的な介護人材の養成に関する施策を検討した.介護供給の公私バランスやシステムは国ごとに異なるが,いずれの国においても家族介護者を支援するための公的施策が講じられ,その射程は,現金の手当・給付のみならず,休日の取得と代替介護の保障,社会保険料の負担(社会保険制度上の配慮),介護者向けのサービス・プログラムの利用支援,相談・指導など,広く設定されていた.介護従事者の確保・労働条件改善については,中高年失業者の再教育・資格取得支援のほか,賃金水準に対する公的部門の直接的な規制もみられた(ドイツ).また,賃金水準の設定については,個々の事業者内部での雇用契約を越えた,より大きな組織単位での協約や交渉が機能していた(ドイツ,フィンランド).人材の定着にむけて,低報酬と専門職としての向上機会の制限に対応する具体策として,キャリアラダーの仕組みづくりが事業者レベルで広がっている(アメリカ).また,専門的な介護人材の養成については,看護と介護の共通基礎教育や福祉と看護・保健医療の共通基礎資格の導入がはかられてきた(ドイツ,フィンランド).こうした共通基礎教育・資格の導入は,ケア人材の専門性・資質という観点のみならず,ケアサービスの構造変化に対応した柔軟な介護労働市場,介護労働力の創出という観点からも推進されていた.こうした諸外国での展開は,今後の日本における介護人材の確保育成に関する政策の枠組みや具体策の検討においても,参考となる.

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森川美絵(2009)「介護人材の確保育成策─諸外国の経験から─ 」https://t.co/IB2ydAt2RI フィンランド、ドイツ、アメリカにおける介護職の労働環境の現況、介護人材の確保育成策についての概説。3カ国の比較は福祉レジーム論を踏まえている。勉強になる。
1 1 https://t.co/pSuDHogv2O https://t.co/3AtTonKhPU
この論文→https://t.co/FUiMzjIyAK でも言及されている、主にアメリカでのキャリアラダー論は検討しました? https://t.co/w0NKZ2E0Ti
この論文→https://t.co/FUiMzjIyAK でも言及されている、主にアメリカでのキャリアラダー論は検討しました? https://t.co/w0NKZ2E0Ti

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