- 著者
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林 林
リン リン
Lin Lin
- 雑誌
- 嘉悦大学研究論集
- 巻号頁・発行日
- vol.53, no.1, pp.27-45, 2010-10-25
従来の日本語教育の多くは、「日本語学の視点」に立ったものであった。それに対して、本稿では、「コミュニケーションのための文法」という観点に立ち、日常会話における「~アル/イル」構文形式と、文末形式の使用実態とを分析し、それを踏まえた日本語教育のあり方について考察する。主に日本語母語話者によるインタビューの会話(約13時間分)データを調査した結果、日常会話では、引用節内を除き、これまでの日本語教科書で提示されてきた文型と、裸文末という形はほとんど使われないということが明らかとなった。その調査結果の考察から、日本語教育における存在表現の導入にあたり、とくに、会話を主な目標に据えた日本語コースでは、「~に~があります/います」「~は~にあります/います」以外のパターン、及び文末に後続要素を加えた表現を初級レベルから提示し、教えるべきであると考えられる。