- 著者
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山本 奈生
- 出版者
- 佛教大学社会学部
- 雑誌
- 社会学部論集 = Journal of the Faculty of Sociology (ISSN:09189424)
- 巻号頁・発行日
- no.62, pp.75-91, 2016-03
本稿は2015年の「安全保障関連法案」に対する市民的不服従の社会運動,とりわけ学生を主体としたSEALDsについて論ずるものである。本稿ではまず第一にSEALDsが組織性や中心点をもたない緩やかな「立憲主義」への呼びかけである点を描写し,第二に当該運動の表面的な訴えのフレーミングおよび参与者らによる複数の言説について論述する。その上で,SEALDsに対して投げかけられた運動体内外からの批判を詳説し,社会運動とナショナリズムの問題やポスト植民地主義的観点からの批判について検討する。そして,参加者諸個人の水準においては,既にそのような批判が内在的に検討されているのにもかかわらず,ムーヴメントの表面的な言説水準においてはナショナリズム論やポスト植民地主義論の観点からみると素朴に映ずる主張が採用されている問題を中心に考察する。安全保障関連法案集団的自衛権新しい社会運動SEALDs