- 著者
-
井上 隆弘
- 出版者
- 佛教大学総合研究所
- 雑誌
- 仏教大学総合研究所紀要 (ISSN:13405942)
- 巻号頁・発行日
- no.23, pp.1-14, 2016-03
広島県の比婆荒神神楽は、中世神楽の特徴である神がかり託宣の古儀を現代に伝える神楽である。その理解において今日でも大きな影響力をもっているのが牛尾三千夫の所説、すなわち荒神神楽は、死者の霊が「祖霊」たる本山荒神へ加入する儀礼であるとするものである。本稿では、そこで等閑視されている「小さき神」に焦点をあて神名帖や地域の小祭である地祭の検討を行い、牛尾の「祖霊神学」批判をとおして、牛尾に影響を与えている柳田民俗学の問題性にも言及した。荒神神楽祖霊加入説小さき神地祭祖霊神学