- 著者
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宮本 淳子
- 出版者
- 東京女子大学
- 雑誌
- 東京女子大学紀要論集 (ISSN:04934350)
- 巻号頁・発行日
- vol.62, no.1, pp.89-127, 2011-09
金春禅竹(1405~1471)は世阿弥(?1363~?1443)の女婿であり、能作者としても活躍、数々の著作を残したことでも知られている。本稿では、禅竹が平仮名をどのように使用していたのか、その使用実態を探る。今回扱う、禅竹自筆『五音三曲集』は近年になって発見されたもので、先行する用字法研究では扱われてこなかったものである。本稿では、同じ一音に対し複数の字母がどのように併用されているか、一音二字母の場合に焦点をあて語の位置別(語頭・非語頭・付属語)に分類、その特徴をまとめた。分析の結果、禅竹筆『五音三曲集』では世阿弥自筆本よりも多くの種類の字母が使用されており、語頭・非語頭で偏りが見られることが明らかとなった。最後に語頭専用と思われる字母「志」を例に複合語・二字漢語の語中で使用されている点に注目した。語頭・非語頭での使用分析により、禅竹自身が一語と捉えていた範囲を明らかにする一つの手がかりとなると思われる点についても論及した。