著者
並松 信久
出版者
京都産業大学日本文化研究所
雑誌
京都産業大学日本文化研究所紀要 = THE BULLETIN OF THE INSTITUTE OF JAPANESE CULTURE KYOTO SANGYO UNIVERSITY (ISSN:13417207)
巻号頁・発行日
no.24, pp.37-78, 2019-03-25

1980年代以降、世界的に「すし」ブームが広がった。世界でsushiとして想定されているのは、約200年前の江戸・文政年間に誕生した江戸前鮨(握り鮨)である。しかし目下、世界で食べられているのは、主に巻き寿司を中心とした「ロール寿司」や「変わり寿司」である。本稿では寿司の特徴を考察し、日本と世界の連続性の有無を明らかにした。 寿司の特徴を列挙すると、①握り鮨は江戸で生み出されたファストフードであった。②握り鮨の誕生後にマグロが使われるようになった。③握り鮨が全国に広がったのは、終戦直後に委託加工制が導入されたからであった。④戦後の物流と冷凍技術の発達によって、世界中のマグロが取引されるようになり、寿司のグローバル化が進んだ。⑤回転寿司はファストフードとしての特徴を最もよく表わし、グローバル化に貢献した。⑥寿司のグローバル化はフュージョン化を意味し、世界の各地域に合った寿司が生み出された。 食文化は固定的なものではなく、歴史性と地域性によって変化していく。本稿で取り上げた寿司も同様で、グローバル化のなかで多様性をもち、各地域に定着していった。1 はじめに2 ファストフードの誕生3 技術進歩と回転寿司4 フュージョン化と定着5 結びにかえて

言及状況

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あまたある寿司料理の中で、江戸前の握りだけが高級化されていったのも何がきっかけだったんだろうか
"現在では日本の寿司屋に比べて、アメリカでは女性の割合が圧倒的に多く""日本では女性は手が温かいので生魚を損なうとされ、雇用の道が閉ざされていたが、アメリカでは…「伝統」が崩れている" →流石

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CiNii 論文 -  伝統食「すし」の変貌とグローバル化 https://t.co/tUzUfbVHWT #CiNii
CiNii 論文 -  伝統食「すし」の変貌とグローバル化(並松 信久、京都産業大学日本文化研究所紀要2019) https://t.co/HbgkkiRMQf #CiNii

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