著者
内藤 裕子 Yuko Naito
出版者
関西外国語大学・関西外国語大学短期大学部
雑誌
研究論集 = Journal of inquiry and research (ISSN:03881067)
巻号頁・発行日
no.110, pp.193-202, 2019-09

第十二代景行天皇の時代にまとめられた五七の長歌で書かれたヲシテ文献である「ホツマツタヱ」と「ミカサフミ」の第一章に、アワウタが出てくる。アワウタは五七・四行の四十八文字でできた歌で、「アカハナマ」で始まり、それを並べると四十八音図ができる。カミヨ六代の時代に、国が乱れて言葉も通じにくくなった。七代目を継いだイサナギとイサナミは、タミの言葉を整えてクニを立て直すために、上の二十四声をイサナギが、下の二十四声をイサナミが、楽器に合わせて歌い、農業や機織りも指導しながら全国を巡ったという。このアワウタで大人も子供も言葉を整えたというだけあって、音声学的にも驚くべき工夫があった。共通語として、日本語の拍の感覚を習得すると同時に、それぞれの母音と子音の発音の仕方を身に付けるのに最適な形になっているなどの知恵がつまっている。そして、縄文哲学における重要な概念をも示している。

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