著者
英保 すずな 内藤 裕子 渡嘉敷 恭子
出版者
関西外国語大学留学生別科
雑誌
関西外国語大学留学生別科日本語教育論集 (ISSN:24324574)
巻号頁・発行日
no.24, pp.37-48, 2014

本稿ではまず、日本語教育用映像教材をいくつか紹介し、その問題点について論じる。著者らはどのテキストを使っていても利用できる、汎用性が高い映像教材を制作したいと考えた。その第一段階として国内外の日本語教育機関で使用されている初級教科書・補助教材に関しての実態調査とニーズ調査を行った。その結果、多くの現場で映像教材が使用されているにも関わらず、なお他の教材を求める声が高いことがわかった。本稿ではGoogle Driveによるアンケートの作成方法も合わせて紹介する。
著者
内藤 裕子 Yuko Naito
出版者
関西外国語大学・関西外国語大学短期大学部
雑誌
研究論集 = Journal of inquiry and research (ISSN:03881067)
巻号頁・発行日
no.110, pp.193-202, 2019-09

第十二代景行天皇の時代にまとめられた五七の長歌で書かれたヲシテ文献である「ホツマツタヱ」と「ミカサフミ」の第一章に、アワウタが出てくる。アワウタは五七・四行の四十八文字でできた歌で、「アカハナマ」で始まり、それを並べると四十八音図ができる。カミヨ六代の時代に、国が乱れて言葉も通じにくくなった。七代目を継いだイサナギとイサナミは、タミの言葉を整えてクニを立て直すために、上の二十四声をイサナギが、下の二十四声をイサナミが、楽器に合わせて歌い、農業や機織りも指導しながら全国を巡ったという。このアワウタで大人も子供も言葉を整えたというだけあって、音声学的にも驚くべき工夫があった。共通語として、日本語の拍の感覚を習得すると同時に、それぞれの母音と子音の発音の仕方を身に付けるのに最適な形になっているなどの知恵がつまっている。そして、縄文哲学における重要な概念をも示している。
著者
内藤 裕子
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.61, pp.5-12, 1987-07-31 (Released:2017-07-25)

本稿は,近隣住宅地および周辺街路においての子供の遊び行為をフィールド・サーベイし,遊びに利用される空間およびモノの使われ方の現状を明らかにするものである。ここでは,抽出した空間およびモノを,空間形状,装置,素材,雰囲気の四種の評価項目に分類し,考察を加えた。空間形状においては,多くの遊びが,街路と小広場を複合的に使って,遊びを成り立たせている。装置は,遊びのきっかけとなり,遊び行為を誘発させ,遊び行為を介助する道具的役割を担い,遊び方を変化させる。素材は,遊び行為を助け,内容に魅力を与える。素材そのものがあって初めて成り立つ遊びもある。雰囲気は,想像力を高め遊び全体の内容を盛りたてる。さらに,街路を中心とした上記の要因の複合的使われ方により,遊び行為の活性化が生じることが観察された。よって,子供の遊びにとっては,近隣住宅地および周辺街路が重要な場となっていると言える。
著者
内藤 裕子
出版者
東北福祉大学教育課程支援室
雑誌
教職研究
巻号頁・発行日
vol.2017, pp.59-67, 2018-03-31

本研究の目的は、前調査において項目を集めたPCAGIP法の評価尺度について因子分析および信頼性の検証を行い、評価に影響を与える要因について検討することである。PCAGIP法の実施と調査は養護教諭を目指す学生46人を対象とし、3回のセッションを合わせのべ111人分のデータを用いた。最尤法・プロマックス回転を用いて因子分析を行った結果、5因子が抽出され「難しさ」「省察」「理解の深まり・広がり」「示唆」「受容的な雰囲気」と命名された。5つの下位尺度のクロンバックのα係数は .75~.84を示し、高い信頼性が確認できた。セッションによる評価の違いを検討したところ、1回目より2回目または3回目の評価が高くなり、「難しさ」の1回目と3回目の間に有意差が見られた。2回目と3回目は『金魚鉢』より『金魚』の評価が高く、2回目の「省察」「理解の深まり・広がり」において有意差が見られた。また、「受容的雰囲気」の評価が高い群は低い群に比べて「理解の深まり・広がり」「示唆」の評価が高かった。This study aimed to perform a factor analysis on and verify the reliability of the Evaluation Scale for PCAGIP, which comprises items determined in a preliminary survey, and to examine the factors that influence PCAGIP score. We implemented the PCAGIP and conducted the survey among 46 students of a yoga teacher training course and used date pertaining to all three sessions, representing a total of 111 individuals. As a result of the Maximum-Likelihood factor analysis, we extracted five factors and names them "difficulty," "reflection", "deepening/broadening understanding," suggestions," and "accepting atmosphere." The Cronbach's alphas for the five subscales were in the range of .75-.84, indicating strong reliability. When we examined inter-session score differences, we found that score were higher in session 2 or session 3 than in session 1. We also found a significant difference in the session "difficulty" score between sessions 1 and 3. When we examined differences by role, we found that scores for "kingyobachi" were higher than those for "Kingyo" in session 1. In sessions 2 and 3, scores for "Kingyo" were higher than those for "kingyobachi," and we observed a significant difference in the session 2 scores for "reflection," and "deepening/broadening understanding." Compared to respondents with low overall scores for "accepting atmosphere," those with high overall scores in this item gave higher scores for "deepening/ broadening understanding" and "suggestions."
著者
諸山 正則 今井 陽子 唐澤 昌宏 木田 拓也 北村 仁美 横溝 曠子 三上 美和 金子 賢治 内藤 裕子 服部 文隆
出版者
独立行政法人国立美術館東京国立近代美術館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

明治期に万国博覧会が開催された地域の主要美術館のコレクションの調査を平成22年度はヨーロッパ、同23年度はアメリカにおいて、工芸作品の所在及び実地の調査を実施した。イギリスのアシュモリアン美術館と大英博物館(担当:唐澤昌宏、服部文孝)、フランスのチェルヌスキ美術館とギメ美術館、装飾美術館、エルリー美術館(担当:北村仁美、三上美和)、ドイツ、チェコ、オーストリアではハンブルグ工芸美術館、マインフランケン美術館、ナープルステク・アジア・アフリカ・文化博物館、プラハ国立美術館、オーストリア国立応用美術館、ウィーン民族学博物館、ゲルマン博物館(担当:今井陽子)、アメリカではフィラデルフィア美術館とウォルターズ美術館、フリーア美術館、国立自然史博物館(担当:諸山正則)、フィールド・ミュージアムとミシガン大学美術館、サン・アントニオ美術館(担当:横溝廣子)、ポートランド美術館とロサンゼルス・カウンティ・ミュージアム、サンフランシスコとシアトルのアジア美術館(担当:木田拓也)で各種の明治期工芸の収蔵作品調査を実施した。追加調査として、横溝が、ロンドンのヴィクトリア・アンド・アルバート美術館で漆工や金工作品等の調査を行った。そうした明治期に各地で開催された万国博覧会に出品された工芸作品や海外の有力なコレクションとして流出した近代工芸の優れた作品資料の実地調査が達成され、データの収集及び撮影に基づく記録が作成された。各担当で整理しその特質を研究して調査成果を論考にまとめ、報告書『明治期に流出した近代工芸作品の調査』を編集発行、統一されたデータとして整理し、データベース化を検討した成果を掲載した。