- 著者
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小林 美津江
- 出版者
- 佛教大学社会福祉学部
- 雑誌
- 社会福祉学部論集 (ISSN:13493922)
- 巻号頁・発行日
- no.17, pp.109-130, 2021-03-01
本研究の目的は,障害者政策における第二次大戦後のコロニー収容と,現代の市場化後の地域生活には共通する排除と隔離が存在するのか,またその蓋然性があるのかについて分析し,今後の障害者政策に示唆を得ることである。研究の背景には,障害者支援の場がコロニーからグループホームに移行したが,問題を起こすと事業主が警察に通報し精神病院に入院させたり,行方不明や自殺するケース等が起こっている。分析対象は,旧優生保護法と厚生白書,海外のコロニーとその思想の輸入,福祉実践家への影響,コロニー設立時の状況,公的福祉の後退と市場化後の現状,障害者福祉のあり方等である。分析結果は,コロニー収容には国の経済発展を背景にした社会防衛論と優生思想に基づく障害者の排除と隔離が存在した。市場化後の状況にも利潤優先による排除と隔離が発生していた。結論は,コロニー収容時代だけでなく市場化後も排除は起こり続けており,その蓋然性があった。障害者を権利の主体者として事業を行えるのは公的福祉であり,そのための再検討が求められる。コロニー収容社会防衛論優生思想公的福祉の後退市場化