著者
ヴェルナー リアーネ 只木 誠 根津 洸希
出版者
日本比較法研究所
雑誌
比較法雑誌 (ISSN:00104116)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.27-67, 2020

本稿は,近時ドイツにて大きな論争となり政治的対立にまで発展した刑事立法,ドイツ刑法219条a第4項(人工妊娠中絶についての宣伝禁止の例外)の新設に至る経緯とその問題性を扱っている。 同項の新設は,Kristina Hänel医師が自身のウェブサイトにて人工妊娠中絶について詳細な情報を提供したことがドイツ刑法219条aの罪に問われた事件を契機とするが,その際の同項新設を巡る政策論争は党派色に染まり,問題の本質が見逃されていた,と筆者は指摘する。それゆえ,あらためて,冷静に,ドイツ刑法219条aがいかなる経緯で制定されるに至ったのか,なにゆえ他の法領域ではなく刑法によって規律されねばならないのか,人工妊娠中絶に関する他の規定といかなる関係にあり,その体系の中でいかなる意義が認められるのか,その意義(規範の保護目的)に沿った合憲的な解釈とはいかなるものであるのかにつき検討している。結論として,筆者は,近時新たに追加された第4項の例外条項によって,合憲的解釈がむしろ困難となってしまっていると指摘する。

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【参考】CiNii 論文 - 講演 より良き法を目指す論争における「勲章となるべき」一つの判例 : 刑法219条a人工妊娠中絶の宣伝に対する処罰を巡るポピュリズム的議論 https://t.co/TAKMsixuen #CiNii

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