- 著者
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明仁親王
目黒 勝介
- 出版者
- The Ichthyological Society of Japan
- 雑誌
- 魚類学雑誌 (ISSN:18847374)
- 巻号頁・発行日
- vol.34, no.4, pp.409-420, 1988
ロクラハゼ属の2種キマダラハゼ<I>Astrabe flavima-culata</I>とシマシロクラハゼ<I>A. fasciata</I>を新種として記載し, シロクラハゼ属の模式種であり, 今まで知られていた唯一の種であるシロクラハゼ<I>A. lactisella</I>についても前2種と比較して再記載した.キマダラハゼは日本産魚類大図鑑の中でキマダラハゼ<I>Astrabe sp</I>.として明仁親王 (1984) が解説を付したものである.キマダラハゼはシロクラハゼとは眼の上縁にある皮摺の上後部が突出しないこと, 縦列鱗数が少ないこと, 第1背鰭前方と腹部に鱗があること, 胸鰭基部を通る白色横帯の幅が狭いこと, 生時には胸鰭基部を通る白色横帯を除き, 暗褐色地に黄色模様が見られることによって区別される.シマシロクラハゼはシロクラハゼとは横列鱗数が少ないこと, 体側の鱗のある部分の幅が狭いこと, 胸鰭基部を通る白色横帯の幅が狭いこと, 第1背鰭前部から体の腹側に向かう白色横帯があることによって区別される.この度の標本の調査により, Snyder (1912) が記録した種子島産の<I>A. lactisella</I>はキマダラハゼであり, 本間・田村 (1972) が記録した佐渡島達者産のシロクラハゼはシマシロクラハゼであることが判明したので, これらの標本はそれぞれの種の副模式標本とした.また道津.塩垣 (1971) がシロクラハゼとして扱ったものの中, 標本を調べることが出来た鹿児島県馬毛島産のものはキマダラハゼであった.長崎県野母崎産の標本は図から判断するとシマシロクラハゼと考えられる.明仁親王 (1984) のシロクラハゼとキマダラハゼの解説は訂正しなければならない.