著者
久保田 紀久枝 桐渕 壽子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.144-147, 1978
被引用文献数
1

甘藷を加熱調理し, その際のVCの変化をしらべた.<BR>1) 蒸し加熱, 電子レンジ加熱の場合にはVCはほとんど変化せず, 焙焼加熱の場合にのみVCの減少がみられ総VCの残存率は約40~60%であった.<BR>2) 蒸し加熱および焙焼加熱の場合, 長時間加熱を続けた場合でもVC量にはほとんど変化がみられなかった.<BR>3) 焙焼加熱の場合, 器内温度170℃で40分焼いた場合より140℃で100分焼いた場合の方がVCの著しい損失がみられた.これらの結果, 高温, 長時間加熱がVC分解の要因になっているのてはないことを示している.<BR>4) 焙焼加熱の場合, 中心部の温度が60~70℃付近に長く保たれる条件で加熱されたとぎVCの減少が著しかった.この場合, 酸化型ビタミンCはいったん増加し, 次いで減少していき還元型ビタミンCが酸化型ビタミンCを経て分解されていくことを示している.<BR>5) 以上のことから, 加熱調理の際のVCの減少は, 高温による熱分解ではなく, ビタミンC酸化酵素が作用していることが示唆された.

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