著者
椹木 哲夫
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 (ISSN:18820212)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.125, 2005

一般に知的な自律行動主体と環境との相互作用は主体内部の自閉的な内部活動に帰属される.すなわち,振舞いの多様性を規定しているものが,環境から入力のみではなく,システムが内部で造り出している「認識」あるいは「知覚」である点が「自律性」の本質である.本稿では,このような行動主体と環境を結びつけている「知」の本質を,パースの記号論(semiotics)に求め,人間が捉えている主観的世界とその動態を説明づける理論としての可能性について述べる.セミオーシスは,これまで言語学のみならず,さまざまな分野で議論が展開されており,分野横断的な新たな知の枠組みとして見直され始めている.それは生命分野,動物行動学,認知心理学,脳科学,社会学,インタフェース設計,コミュニケーション,ヒューマンコンピュータインタラクション,人間の日常的な活動分析から,芸術・芸能の分野まで多岐に亘るとともに,ロボッティクス分野での身体性・認知ロボティクスや記号接地の問題とも関連を有する.本稿では,セミオーシスで捉える知覚世界の特質について中心にまとめる.

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vid. セミオーシス:記号過程がかもしだす知覚世界の動的複雑系 https://t.co/14sfgwRR3c

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