著者
藤井 わか子 藤堂 雅恵 小川 眞紀子 山下 広美 我如古 菜月 人見 哲子 槙尾 幸子 畦 五月 青木 三恵子 大野 婦美子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.25, 2013

【目的】岡山県は,地形からみると県北の中国山地,県中部の吉備高原,県南の平野・丘陵地帯,瀬戸内沿岸・島しょ地帯の四地域からなる。各地域には異なった作物が生み出され,特色ある食文化が伝承されていると言われている。一方で歴史的には,岡山県は備前,備中,美作と呼ばれてきた。そこで,現在の県民局(備前,備中,美作)の管轄で分け,年中行事・通過儀礼の地域による違いを把握することを目的とした。【方法】平成21~23年日本調理科学会特別研究「調理文化の地域性と調理科学-行事食・儀礼食-」の調査データから,岡山県に10年以上居住している者334名を対象に,岡山県を3地域に分けて認知度・経験度・喫食経験等について集計し検討した。検定はカイ二乗検定を行った。【結果】岡山県の年中行事・通過儀礼の認知・経験度は,全国調査結果と類似していた。3地域でみると,認知度では秋祭りと人日,重陽の節句(p<0.01)に,経験度ではお月見(p<0.05),秋祭り(p<0.01)で3地域間の差がみられた。正月では,お雑煮の喫食割合は地域差がみられなかった。すまし仕立てが最も多く,丸もち,茹でて食べており,3地域において差異がないことがわかった。お節料理は,黒豆,かまぼこが全体的に最も高い結果であった。次いで,数の子,昆布巻き,煮しめが高かった。その他の年中行事の食べ物は,節分のいわし料理(p<0.01),端午の節句のちまき(p<0.01),盂蘭盆と七夕の麺 (p<0.05),お月見のだんご(p<0.01),大晦日の尾頭付きいわし料理(p<0.01)等で地域間に差が認められた。通過儀礼の認知・経験度は,出産祝い(p<0.01),百日祝い(p<0.01),厄払い(p<0.05)で,またその食べ物では,お七夜と初誕生の赤飯・小豆飯,厄払いのもち(p<0.01)において差がみられた。

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