著者
人見 哲子 焔硝岩 政樹
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.24, 2012

【目的】 「晴れの国おかやま」のキャッチフレーズで知られている岡山県は、自然災害の少ない県である。しかし、平成21年に発生した台風9号の影響により岡山県は大雨に見舞われ深刻な被害をもたらした。このような、背景から岡山県美作保健所勝英支所が主体となって"みんなでつくる災害時の食生活支援ネットワーク"が立ち上げられ、自助・共助・公助の役割を明確にした"災害時食生活支援のための手引き"、献立集 "食事ホッとカード"(以下ホッとカードと記す)を作成した。このカードは、被災現場での炊き出しで健康な方にも提供でき、少しの工夫で乳幼児や高齢者、病気で食事治療を受けている方にも提供できるメニューを検討し、実際の場面で活用できるか住民らと共に検証した。【方法】(1)幼児から高齢者、特別な配慮が必要な方やアレルギー体質の方等、全てに対応できる献立になっているかを、ネットワークのワーキンググループにおいて検討を行い、繰り返し試作を重ねて決定した。(2)小学生を対象とした「つなげよう人の輪 防災体験inつやま」に参加し、ホッとカードの中から、実際に作ってもらい、試食をし、疑似体験した。【結果・考察】ホッとカードは、誰でも、どこでも、作りやすいことをコンセプトに、写真、タイトル、ライフラインの状況を明記し、献立選びのヒントを載せ、区分ごとに色分け、見やすいようにノンブルを配置した。また、ライフラインの状況に応じた調理方法から、献立を選択できるよう配慮し、字体は大きく、被災経験から紙質は耐水性で破れにくく、水害にも対応した献立集ができあがった。防災体験を通して、幼い子供でも作れる献立内容であった。会場ではホッとカードを拡大したものの掲示や、市販されている備蓄食品の展示を行い、実際に体感することで、幼い頃から知ってもらうきっかけになった。。
著者
藤井 わか子 藤堂 雅恵 小川 眞紀子 山下 広美 我如古 菜月 人見 哲子 槙尾 幸子 畦 五月 青木 三恵子 大野 婦美子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.25, 2013

【目的】岡山県は,地形からみると県北の中国山地,県中部の吉備高原,県南の平野・丘陵地帯,瀬戸内沿岸・島しょ地帯の四地域からなる。各地域には異なった作物が生み出され,特色ある食文化が伝承されていると言われている。一方で歴史的には,岡山県は備前,備中,美作と呼ばれてきた。そこで,現在の県民局(備前,備中,美作)の管轄で分け,年中行事・通過儀礼の地域による違いを把握することを目的とした。【方法】平成21~23年日本調理科学会特別研究「調理文化の地域性と調理科学-行事食・儀礼食-」の調査データから,岡山県に10年以上居住している者334名を対象に,岡山県を3地域に分けて認知度・経験度・喫食経験等について集計し検討した。検定はカイ二乗検定を行った。【結果】岡山県の年中行事・通過儀礼の認知・経験度は,全国調査結果と類似していた。3地域でみると,認知度では秋祭りと人日,重陽の節句(p<0.01)に,経験度ではお月見(p<0.05),秋祭り(p<0.01)で3地域間の差がみられた。正月では,お雑煮の喫食割合は地域差がみられなかった。すまし仕立てが最も多く,丸もち,茹でて食べており,3地域において差異がないことがわかった。お節料理は,黒豆,かまぼこが全体的に最も高い結果であった。次いで,数の子,昆布巻き,煮しめが高かった。その他の年中行事の食べ物は,節分のいわし料理(p<0.01),端午の節句のちまき(p<0.01),盂蘭盆と七夕の麺 (p<0.05),お月見のだんご(p<0.01),大晦日の尾頭付きいわし料理(p<0.01)等で地域間に差が認められた。通過儀礼の認知・経験度は,出産祝い(p<0.01),百日祝い(p<0.01),厄払い(p<0.05)で,またその食べ物では,お七夜と初誕生の赤飯・小豆飯,厄払いのもち(p<0.01)において差がみられた。