著者
吉田 健一 小川 誠司
出版者
The Japanese Society of Hematology
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.56, no.7, pp.861-866, 2015

過去30年ほどの間に,先天性(遺伝性)血液疾患は原因疾患の同定とともに病態の理解が進んできた。より最近では次世代シーケンス技術(NGS)の登場により,1塩基レベルかつゲノムワイドにヒトゲノムを解析できるようになり,NGSを用いた全エクソンシーケンス(WES),ターゲットシーケンスが遺伝性疾患の原因探索のため広く行われている。疾患の原因遺伝子異常の大部分がヒトゲノムの約1.3%をしめるタンパクをコードする領域に存在すると予測されており,WESは全ゲノムシーケンスに比べて効率より原因遺伝子を検索できると考えられる。新規原因遺伝子の探索のみではなく,NGSは遺伝性血液疾患の診断目的にも用いられている。WES, ターゲットシーケンスにより従来のサンガー法に比べて正確かつ効率よく原因遺伝子を同定できると考えられている。したがって,今後NGSが遺伝性血液疾患の臨床で日常的に使用されること(クリニカルシーケンス)が期待される。

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