著者
豊田 康祐 安部 康信 津田 麻理子 土師 正二郎 崔 日承 末廣 陽子 喜安 純一 大島 孝一 鵜池 直邦
出版者
The Japanese Society of Hematology
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.55, no.7, pp.815-819, 2014

Primary effusion lymphoma (PEL)は体腔液中に限局して腫瘍細胞が増殖する稀なB細胞性リンパ腫であり,原則的に明らかな腫瘤形成は認められないとされ,human herpes virus 8 (HHV8)感染が陽性である。しかしながら本邦を中心にHHV8感染が認められないPEL類似の症例も報告されており,これらをPEL-like lymphoma (PEL-LL)とする疾患群も提唱されている。今回我々は胸水貯留で発症したPEL-LLを経験した。心疾患を有する70歳男性であり,リツキシマブ併用経口ソブゾキサン,エトポシド少量療法にて7か月間完全奏効を維持している。PEL-LLはPELと比較し,予後良好であることが報告されており,CD20抗原が陽性であることからリツキシマブの追加効果が期待されている。PEL-LLは高齢者に多い疾患であり,より忍容性のある有効な治療法の開発が期待される。
著者
川上 恵一郎 清崎 雅宣 天谷 洋 中牧 剛 日野 研一郎 友安 茂
出版者
The Japanese Society of Hematology
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.334-340, 2000

症例は54歳,女性。慢性骨髄性白血病慢性期と診断され,4年後に急性転化をきたした。芽球はペルオキシダーゼ陰性,TdT陽性で,表面マーカーはCD7, HLA-DRが高値で,CD2, CD5, CD10も弱陽性ながら発現を認め,リンパ球系の形質をわずかに有した未分化芽球性の急性転化と診断した。インターフェロンαを20日間投与したが無効のため,VP療法(ビンクリスチン2 mg/週,プレドニソロン30 mg/日)に変更した。VP療法第1週終了後,右前胸部に可動性を有する小指頭大の皮下腫瘤が出現した。腫瘤はペルオキシダーゼ陽性,TdT陰性の芽球で占められており,表面マーカーはCD13, CD33が陽性であった。本例は全身性の未分化芽球性急性転化治療経過中に,局所性の骨髄芽球性急性転化を合併した1種のmixed blast crisisで,貴重な症例と考えられた。
著者
吉田 健一 小川 誠司
出版者
The Japanese Society of Hematology
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.56, no.7, pp.861-866, 2015

過去30年ほどの間に,先天性(遺伝性)血液疾患は原因疾患の同定とともに病態の理解が進んできた。より最近では次世代シーケンス技術(NGS)の登場により,1塩基レベルかつゲノムワイドにヒトゲノムを解析できるようになり,NGSを用いた全エクソンシーケンス(WES),ターゲットシーケンスが遺伝性疾患の原因探索のため広く行われている。疾患の原因遺伝子異常の大部分がヒトゲノムの約1.3%をしめるタンパクをコードする領域に存在すると予測されており,WESは全ゲノムシーケンスに比べて効率より原因遺伝子を検索できると考えられる。新規原因遺伝子の探索のみではなく,NGSは遺伝性血液疾患の診断目的にも用いられている。WES, ターゲットシーケンスにより従来のサンガー法に比べて正確かつ効率よく原因遺伝子を同定できると考えられている。したがって,今後NGSが遺伝性血液疾患の臨床で日常的に使用されること(クリニカルシーケンス)が期待される。
著者
水野 石一 村山 徹 大林 千穂 高橋 健太郎 宮田 陽子 安藤 美和 佐藤 倫明 井本 しおん 松井 利充 伊東 宏 千原 和夫
出版者
The Japanese Society of Hematology
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.39, no.8, pp.593-599, 1998-08-30
被引用文献数
3

53歳,女性。51歳の時に肺炎にて近医を受診し,頚部リンパ節腫脹,貧血,高ガンマグロブリン血症を指摘され,multicentric Castleman's disease (MCD)を疑われた。53歳の時に下肢のしびれ感,脱力感を認め,当科入院。多クローン性高ガンマグロブリン血症を認め,リンパ節生検にてリンパ濾胞間に形質細胞の浸潤を認めたため,MCDと診断した。また,胸部CTにてびまん性粒状影,経気管支肺生検にて形質細胞の浸潤を認め,lymphoid interstitial pneumonia (LIP)と診断した。また神経学的所見および神経電気生理検査から多発神経障害の合併と診断した。LIPに対しprednisoloneとcyclophosphamideによる治療を行ったが,一部に線維化が進んでいたためかあまり改善は認められなかった。肺合併症はMCDの予後を左右するため早期の発見と治療が必要である。
著者
河村 雅明 竹内 仁 八田 善弘 相磯 きすみ 堀越 昶 大島 年照 堀江 孝至
出版者
The Japanese Society of Hematology
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.206-211, 1995-03-30
被引用文献数
2 1

症例は47歳の女性。貧血と末梢血へのリンパ芽球の出現を指摘され,1988年10月当科に入院した。ALL (L2)と診断され,JALSGのALL-87プロトコルが開始された。治療開始10日目に39.6°Cの発熱がみられ,緑膿菌による敗血症とそれに伴うエンドトキシンショックを合併したが,抗生剤の併用により軽快した。白血球の回復に伴い,胸部X線写真で左上肺野に浸潤影が出現し,陰影は急速に拡大するとともに,三日月状空気透亮像(air crescent)を伴う空洞形成を呈した。経気管支鏡的に起因菌の検索とAMPH-Bの注入を行ったところ,菌は証明されなかったが空洞は軽快した。完全寛解後,腰痛が出現し,腰椎X線写真で,腰椎椎体の壁不整および椎間腔の狭小化を認めた。腰椎椎弓切除術および病巣〓爬術を施行し,病巣部よりアスペルギルスの1コロニーが培養された。AMPH-Bの静脈内投与で腰痛は軽快し,その後の化学療法は支障なく行えた。AMPH-Bは本症例の治療に有用と考えられた。
著者
高木 省治郎 須田 啓一 小松 則夫 大田 雅嗣 加納 康彦 北川 誠一 坪山 明寛 雨宮 洋一 元吉 和夫 武藤 良知 坂本 忍 高久 史麿 三浦 恭定
出版者
The Japanese Society of Hematology
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.27, no.12, pp.2274-2280, 1986

Five patients with malignant lymphoma in whom primary chemotherapy had failed were treated with high-dose chemotherapy using AAABC regimen, total body irradiation, and transplantation of cryopreserved autologous marrow. Complete remission was achieved in all five patients. In these patients, the recurrence of malignant lymphoma did not occur during the follow up time of 2 to 59 months after autologous bone marrow transplantation. Three of them are alive in continuous remission for 33, 49, and 59 months, respectively. In one of these three patients, acute lymphoblastic leukemia developed 44 months after bone marrow transplantation. However, successful chemotherapy resulted in a complete remission of leukemia, he is alive in remission. The remaining two patients died of pneumonia and respiratory failure 72 days and 82 days after bone marrow transplantation, respectively. Our results show that intensive chemoradiotherapy and autologous-marrow transplantation can produce a prolonged remission in patients with malignant lymphoma in whom conventional chemotherapy has failed.