著者
三浦 加代子 川島 明子 橘 ゆかり 川原﨑 淑子 青山 佐喜子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.28, 2016

【目的】日本調理科学会平成21・22年度特別研究で和歌山県の行事食の調査から,伝統的な行事食が伝承されていない傾向にあることが明らかになった。しかし,調査では地域による食文化の違いが残り,特にすしの多様性が示唆された。一方,全国的には回転ずしが広まり,今後地域性のあるすしの食文化が消失される危惧がある。このような背景から,和歌山のすしに関する食文化の現状を把握することを目的とした。<br> 【方法】調査は,平成24年11~12月にすしに関するアンケート調査を郵送法により行った。先の全国調査の際に今後も調査協力できると同意が得られた198名を調査対象者とした。回収率は71.7%であった。<br> 【結果】すしは,巻きずし,握りずし,散らしずし,押しずし,なれずし,目はりずし,柿の葉ずしの7種類に分け,行事におけるすしの喫食状況について調べた。行事で巻きずしを食べる習慣があるのは,節分が76.1%と最も多く,正月(36.6%),法事(31.0%),葬儀(25.4%)であった。握りずしを食べる習慣があるのは,法事(28.9%),葬儀,正月,大晦日の順であった。散らしずしでは,上巳(48.6%),法事,葬儀が多かった。押しずしは,祭り,法事,正月があげられた。なれずしは,祭りと正月が,柿の葉ずしでは,祭りがあげられた。一方,普段の食事でのすしの喫食状況を調べると,半数以上が散らしずしをあげ,普段からすしを食べている状況が伺えた。また,地域に特徴的なすしがあると答えたものが約40%であったが,すしの作り方を次の世代によく伝承していると答えたものは約20%にすぎなかった。

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和歌山県の「すし」に関する食文化の現状 https://t.co/N43cIbCWHf

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