- 著者
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柘植 光代
時友 裕紀子
阿部 芳子
松本 美鈴
坂口 奈央
- 出版者
- 日本調理科学会
- 雑誌
- 日本調理科学会大会研究発表要旨集
- 巻号頁・発行日
- vol.29, 2017
【目的】山梨県で食べられてきたおやつ/間食を主材料(小麦粉、米粉、もち米、とうもろこし粉、いも類、その他)で分類し、地域による特徴をまとめた。<br />【方法】日本調理科学会特別研究「次世代に伝え継ぐ家庭料理」のガイドラインに沿い、山梨県の生活環境と家庭料理について平成25~27年に聞き書き調査を行った。峡北(北杜市)、峡中(甲斐市)、峡西(南アルプス市)、峡東(山梨市)、峡南(南部町)、東部(上野原市)、富士五湖・富士山麓(山中湖村)を調査対象地とした。<br />【結果】間食の名称にはナカイレ、オチャ、オヤツ、オコジュウ、ヨウジャなどがあり、地域により違いがみられた。<br /> 主材料が小麦粉のおやつには薄焼き、ねじり菓子や酒まんじゅう、米粉のおやつには砕米を利用した薄焼きや、上新粉を利用したまんじゅう、かしわもち、草もちなどがあった。もち米を蒸して搗き、きな粉と黒蜜をかけた「あべ川もち」は盆の時期に食べられ、節分の豆とひなあられを使う「おしゃかこごり」は灌仏会で用いられるなど、もち米を使ったおやつは行事食の場合が多い傾向にあった。とうもろこし粉を用いた料理は北杜市や上野原市でもみられたが、特に山中湖村ではとうもろこし粉の料理が昔から常食されており、もろこし団子やもろこしまんじゅうがおやつとしても食べられていた。<br /> さつまいもやじゃがいもを用いたおやつも多く、「いものこ」(南部町)はさつまいもを輪切りにし、ゆで、中心部に開けた穴にわらを通して乾燥させた保存食品である。食べる際に水で戻して砂糖で煮る方法は特徴的な調理方法と考えられる。じゃがいもの小いもを揚げたり煮たりするおやつも各地でみられた。桃のシロップ煮やしょうが糖など、生産地特有のおやつもあった。