- 著者
-
足立 里美
阿久澤 さゆり
玉木 有子
松森 慎悟
中村 雅英
澤山 茂
- 出版者
- 一般社団法人 日本家政学会
- 雑誌
- 一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
- 巻号頁・発行日
- vol.56, pp.136, 2004
【目的】 わらび澱粉はわらびの地下茎から抽出され「わらび粉」として流通しており、わらび餅などに珍重されている。しかし、生産量が少なく高価なため、さつまいも澱粉が代替品として使用されている。演者らは、数種類の澱粉の理化学的性質およびレオロジー的性質について報告してきたが、わらび澱粉に関する報告はあまり見られない。そこで本研究では、わらび澱粉の糊化特性と糊液のレオロジー的性質を検討した結果を報告する。【方法】 わらび澱粉は、広八堂(鹿児島県)で製造された粗澱粉を、常法に従って精製して試料澱粉として用いた。対照としてさつまいも澱粉およびくず澱粉を用いた。アミロペクチンの鎖長分布はHPAEC-PAD法 (Dionex社製DX-500) で測定し、DSCにより糊化特性を測定した。また、SEC-MALLS (昭和電工社製:Wyatt Tecnology社製) により重量平均分子量および慣性半径を測定した。糊液の動的粘弾性測定はRheoStress1 (Haake社製) を用いた。【結果】 DSCによる糊化終了温度は、わらび澱粉が70.8℃と最も低く、次いでくず澱粉78.5℃、さつまいも澱粉83.8℃であり、アミロペクチンのDP6-12の短鎖長の割合が多いほど糊化ピーク温度が低い傾向であった。また、糊液を遠心分離後、上澄み中に溶解した糖量を比較すると、わらび>さつまいも>くずの順で糖量が多く、さらに溶液中の重量平均分子量および慣性半径を測定したところ、わらび澱粉糊液は著しく大きかった。動的粘弾性からみたゲル化濃度はわらび澱粉が最も低く、貯蔵弾性率の濃度依存性より3種のゲル構造の違いが示唆された。