著者
篠原 久枝 長野 宏子 磯部 由香 秋永 優子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.30, 2018

【目的】日本調理科学会特別研究平成24~25年度「次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理」の聞き書き調査を元に,宮崎県の家庭料理の主菜の特徴を明らかにすることである。<br>【方法】平成24~26年度に県内の8地区11ヶ所の昭和2年~昭和22年生の女性35人を対象に,昭和30~40年代から作られていた家庭料理について聞き書き調査を行い,主菜に分類される料理を抽出し特徴について検討した。<br>【結果】昭和30~40年代は、多くの農家の庭先で鶏が飼われていたが、卵は貴重品であり生で食したり、卵焼きにして弁当のおかずとした。正月や祭り、屋根の吹き替えなどの行事がある時には、鶏をつぶして刺身や煮物、すき焼きにして食された。大ばらし(足分け)までは男性の仕事であった。北部山間部では、豚一匹を使った料理(諸塚村)やアシナガやキイロなどの蜂の子を使った料理(五ヶ瀬町)も見られた。魚介類は地域差が見られ、北部沿岸部(延岡市)では、ぐち、いか、鰯、アジなどが多くとれ、日々の食事に魚を切らすことはなかった。内陸部や山間部では、昭和30年代までは、塩をしていない魚(無塩)は滅多に手に入らず、塩イワシやイワシの丸干しが食されていた。北諸県地区(都城市)では、イワシの丸干しをてんぷらにした「魚んてんぷら」が運動会や田植えのさのぼりの時のご馳走であった。南那珂地区(日南市)ではイワシのすり身に豆腐と黒砂糖を合わせて揚げた「飫肥のてんぷら」が冠婚葬祭の時に食されていた。豆腐は各家庭で作られていたが、東臼杵南部の椎葉村では、焼畑で栽培した大豆を使って、平家カブの葉や藤の花を入れた「菜豆腐」が作られていた。以上より、ひなたの海幸・山幸を活かした主菜が各地区でみられた。

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