著者
秋永 優子 金子 小千枝
出版者
福岡教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

日常の食生活を,子どもたちが毎日食べることによって大きな影響を受けている学校給食での手法を踏まえ,家庭における実態について,「食の質」と「食文化の回復」および「グリーン購入」との関連性の観点から捉えることを目的とした。まず,6つの小学校の学校給食の質を,児童と教師による教室サイドの認識と,栄養士と調理員による調理場サイドの現状という2つの角度から,点数化して評価したところ,それらの結果は相関性が高く,かなりよく一致し,点数化の方法が有効であることを認めた。次に,家庭で主に家事を担当している人の食生活に関してアンケート調査し,527名から回答を得て,「食の質」,「食文化の回復」,「グリーン購入」の3つの観点から点数化して評価することを試みた。「食の質」として,食事が六つの基礎食品群を満たしているか,ご飯主食回数,料理の品数,しょうゆの原材料について,「食文化の回復」として日常食が和食であるか,みその使用頻度,保存食品および正月料理,郷土料理の家庭での手作りについて,「グリーン購入」として食品の購入先,購入時の優先事項,台所用洗浄剤の種類,トレーの処理,レジ袋持参などの項目別に点数化した。「食の質」,「食文化の回復」および「グリーン購入」のそれぞれについて回答者ごとに得点化したことろ,どの項目においても,人によって点数の差が大きかった。食生活の質とグリーン購入に関して項目の一部を用いて調べた結果,強い相関は見られなかったものの,関連性が認められた。
著者
秋永 優子 上池 葉月 糦須海 圭子 八尋 美希 甲斐 純子
出版者
福岡教育大学
雑誌
福岡教育大学紀要. 第五分冊, 芸術・保健体育・家政科編 = Bulletin of Fukuoka University of Education. Part V, Art, health and physical education, and home economics (ISSN:02863243)
巻号頁・発行日
vol.63, pp.151-159, 2014-02-10

The way of learning on rice cooking was discussed from the viewpoints of utensil for cooking rice in the homemaking course at the elementary schools. The description in the course books had not made big changes. In the other hand, commentaries in elementary textbooks have changed little by little with the change of the times. The utensil for cooking rice in the cookery practice class of the homemaking course differed among regions and among schools. It may be important that the content of the subject, the homemaking course, adapts to the daily lives of students.
著者
猪田 和代 宮原 葉子 仁後 亮介 吉岡 慶子 山本 亜衣 秋永 優子 楠瀬 千春 末田 和代 三成 由美 松隈 美紀 八尋 美希
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.30, 2018

【目的】「次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理」では、全国に残されている特徴ある家庭料理について、聞き書き調査を通して地域の暮らしの背景とともに記録し、次世代に伝えることを目的としている。本研究では九州支部の調査で得られた家庭料理の中から特に「主菜」の特徴について検討した。<br>【方法】日本調理科学会特別研究の調査ガイドラインに基づき聞き書き調査を行った。調査地区は北九州地域(5名)、筑豊地域(2名)、福岡地域(9名)、筑後地域(9名)の4地域。調査期間は平成24年~25年度。対象者は昭和35年~45年当時の調理担当者とし、平均年齢は74.0±6.1歳であった。<br>【結果】日常の食事は質素で、主菜は野菜の煮物が主であった。朝食は主菜がなく、ご飯とみそ汁に漬物が添えられる程度であった。昼食も特に主菜はなく、残り物や漬物などで済ませていたが、夕食では肉類や魚介類と季節の野菜を煮て主菜とした。食材としては肉類では牛、豚肉はほとんど食べられず、鶏肉もハレの日には鶏一羽をつぶしてご馳走としてふるまうが、少量を味付けに使用していた。また、くじら肉は4地域で食べられ、特に筑豊の産炭地では塩くじらが好まれていた。魚貝類は玄界灘に面した福岡地域では新鮮な魚の煮つけ、塩焼き、県南の筑後地域は有明海の魚介を煮つけ、塩焼きとした。山間部では塩干品を、筑後川中流域では川魚を用いた。さらに、大豆・大豆製品は煮豆、豆腐、油揚が用いられていた。これらの主菜に加え、野菜は季節ごと食され、調理方法は煮物が主であった。特に少量の鶏肉を用い、野菜類と共に油で炒めて煮た「がめ煮」は4地区に共通してみられ、福岡県の歴史や生活の中から産み出された独自の調理法で広く伝承されていた。
著者
篠原 久枝 長野 宏子 磯部 由香 秋永 優子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.30, 2018

【目的】日本調理科学会特別研究平成24~25年度「次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理」の聞き書き調査を元に,宮崎県の家庭料理の主菜の特徴を明らかにすることである。<br>【方法】平成24~26年度に県内の8地区11ヶ所の昭和2年~昭和22年生の女性35人を対象に,昭和30~40年代から作られていた家庭料理について聞き書き調査を行い,主菜に分類される料理を抽出し特徴について検討した。<br>【結果】昭和30~40年代は、多くの農家の庭先で鶏が飼われていたが、卵は貴重品であり生で食したり、卵焼きにして弁当のおかずとした。正月や祭り、屋根の吹き替えなどの行事がある時には、鶏をつぶして刺身や煮物、すき焼きにして食された。大ばらし(足分け)までは男性の仕事であった。北部山間部では、豚一匹を使った料理(諸塚村)やアシナガやキイロなどの蜂の子を使った料理(五ヶ瀬町)も見られた。魚介類は地域差が見られ、北部沿岸部(延岡市)では、ぐち、いか、鰯、アジなどが多くとれ、日々の食事に魚を切らすことはなかった。内陸部や山間部では、昭和30年代までは、塩をしていない魚(無塩)は滅多に手に入らず、塩イワシやイワシの丸干しが食されていた。北諸県地区(都城市)では、イワシの丸干しをてんぷらにした「魚んてんぷら」が運動会や田植えのさのぼりの時のご馳走であった。南那珂地区(日南市)ではイワシのすり身に豆腐と黒砂糖を合わせて揚げた「飫肥のてんぷら」が冠婚葬祭の時に食されていた。豆腐は各家庭で作られていたが、東臼杵南部の椎葉村では、焼畑で栽培した大豆を使って、平家カブの葉や藤の花を入れた「菜豆腐」が作られていた。以上より、ひなたの海幸・山幸を活かした主菜が各地区でみられた。
著者
秋永 優子 中村 修 下村 久美子 阿曽沼 樹 キ須海 圭子
出版者
福岡教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

高齢者訪問給食サービスの献立の改善を目的とし、まず、13自治体の担当者に聞取り調査を実施した。栄養基準については、設定している自治体の場合、エネルギーのみ、さらに数種の栄養素についてなど様々で、数値を示していない自治体の場合、高齢者福祉施設の食事を利用するなど3通りがみられた。福岡県内全自治体を対象に基礎調査を実施したところ、サービス実施上のねらいとして、ほとんどが栄養バランスのとれた食事提供をあげたが、献立や実物のチェックはほぼされていなかった。そこで、献立評価方法を検討し、「栄養・食品構成」「食材・生産」「料理の味」の観点からなる、日常的に手軽に実施可能なチェックシートを提案した。