- 著者
-
畠山 洋輔
- 出版者
- 日本社会学理論学会
- 雑誌
- 現代社会学理論研究 (ISSN:18817467)
- 巻号頁・発行日
- vol.5, pp.159-170, 2011
本稿は、専門職論のレビューを通して、ある職業を「専門職」として名指すことをめぐる実践を検討するための方法を提示することを目的としている。近代社会において、分業の進展と、自律性を特徴とする職業の専門職化とが並行した。専門職の定義に終始する専門職論は、定義だけではなく、その専門職がおかれている社会的な文脈を見るべきであるとして批判されてきた。そこで、専門職や専門職のおかれている文脈を検討するために、専門職として自己呈示すること、ある職業を専門職として記述すること、そして、そのような職業を専門職として承認する過程を、専門職カテゴリー化として捉えることを提案する。また、近年、専門職論では専門職の成立の前提として信頼が重視されていることを踏まえ、関連アクターからの信頼を維持・獲得しようとする専門職の実践や、専門職論による記述を信頼獲得プロジェクトとする。このように捉えることで、専門職の正しい定義をめぐる議論が抱えるに問題を回避しつつ、専門職を考察することができるようになる。記述の例として現在も様々な定義が提示される社会福祉士を取り上げ、このアプローチの可能性について提示する。