- 著者
-
尾方 隆幸
- 出版者
- 日本地球惑星科学連合
- 雑誌
- 日本地球惑星科学連合2016年大会
- 巻号頁・発行日
- 2016-03-10
地球科学のアウトリーチにおいて,ジオストーリーの有効性が注目され始めている。ジオストーリーに基づく地球科学的な解説は,学校教育,生涯教育,ジオパークなどのさまざまな場面で有効であるが,科学性とわかりやすさを両立させることは簡単ではない。しかし,地球科学者とメディア制作の専門家が共同作業を行い,この問題を追求することで,良質のジオストーリーを生み出す可能性が拓ける。その事例として,NHKの人気番組「ブラタモリ」の沖縄・首里編(2016年2月27日放送)を取り上げる。この回では,世界文化遺産「琉球王国のグスク及び関連遺産群」に登録されている首里城跡とその城下町をフィールドに,サイトを巡りながら,地史学的テーマ,地形学的テーマ,水文学的テーマ,さらには世界遺産としての歴史・文化に関するテーマを組み合わせ,ストーリーを構築した。ストーリーの構築にあたっては,科学性の確保だけではなく,それぞれのテーマのシームレス性を重視した。こうした工夫は,さまざまな場面での地球科学のアウトリーチに応用できるものといえる。