著者
アグレバンテ ジョセフィン 松井 年行 北川 博敏
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.38, no.6, pp.527-532, 1991
被引用文献数
7

エタノール及びエチレン処理による追熟バナナの軟化,呼吸,ペクチンメチルエステラーゼ,ポリガラクチュロナーゼ活性の効果と全ペクチン,水溶性ペクチン全量の変化について検討した.果皮色の着色,全可溶性固形物(全糖として)と酸度も同様に測定した.エタノールはバナナの追熟を促進したが,エチレンより効果は少なかった.エチレン及びエタノール処理とコントロール果実の呼吸ピークは貯蔵後4, 8, 11日に各々見られた.果実はCO2ピークのすぐ後で可食熟度となり,この時の処理区の硬度はコントロールと同じようになった.果実が軟化するにつれて,ポリガラクチュロナーゼ活性は増大し,全ペクチンは減少,水溶性ペクチンは増大した.ポリガラクチュロナーゼ活性はクリマクテリック前期で低く,クリマクテリックで増大し,後期で前期の17~18倍に達した.コントロールは追熟が遅く,ポリガラクチュロナーゼ活性は処理果実よりも常に低かった.ペクチンメチルエステラーゼ活性と硬度の減少との関係は少なかった.全可溶性固形物は追熟中20~22%に増大し,その増大はエチレン処理で最も早く,コントロールで最も遅かった.硬度は各区においてわずかに増大した.