著者
ジョセフィン アグレバンテ 松井 年行 北川 博敏
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.235-238, 1990
被引用文献数
4

6lの容器当り5mlの40%か60%のエタノールを噴霧すると, 20℃で貯蔵したカーベンディッシュバナナの追熟が1~3日間早められた.処理した果実の追熟が早ければ早い程,コントロールと比較してより低いデンプン含量と,より高い全糖,ショ糖,還元糖含量となった. α-アミラーゼ活性は, 40%と60%エタノール処理の果実で一般に高かった.酵素活性の増大は,デンプンの加水分解の開始より明らかに遅かった.
著者
アグレバンテ ジョセフイン 松井 年行 北川 博敏
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.37, no.11, pp.911-915, 1990
被引用文献数
8

本研究は,エタノール及びエチレン処理されたバナナの追熟中のホスホリラーゼとインベルターゼ術変化について検討したものである.バナナ果肉中術デンプン含量は,緑色段階の約20%から完熟段階の1%以下に減少し,一方全糖は20%へ増大した.追熟の同じ段階でエタノールとエチレン処理果実術デンプン・ショ糖含量と酵素活性はコントロール術それと共通点があった.ホスホリラーゼ活性は,デンプン術初期分解段階(カラーインデックス2)で増大し,デンプンの減少と同時に追熟術後期で減少した.他方,インベルターゼ活性は緑色段階で非常に低かったが,ショ糖の急激な増大に伴ってカラーインデックス3(黄色より緑色)で著しく増大した.
著者
イスラム マハメッド シャヒドール 松井 年行 吉田 裕一
出版者
日本生物環境工学会
雑誌
生物環境調節 (ISSN:05824087)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.245-251, 1994
被引用文献数
5

トマト (品種レディファースト) 果実の糖含量と酸性インベルターゼ活性に及ぼす炭酸ガス施用 (700~900ppmv) の影響について検討した.炭酸ガス施用を行った果実のブドウ糖と果糖は無施用区 (250~400ppmv) よりも有意に高かったが, ショ糖では有意差が認められなかった.酸性インベルターゼ活性は可溶性のものが細胞壁結合性のものよりも高かった.開花後50日からのインベルターゼ活性の増大は還元糖含量の増大傾向と一致した.さらに, 炭酸ガス施用を行った果実は対照区のものよりもインベルターゼ活性は高かった.炭酸ガス施用は光合成とインベルターゼ活性の増大を導き, 糖含量および果色を向上させるものと考えられた.
著者
イスラム マハメッド シャヒドール 松井 年行 吉田 裕一
出版者
日本生物環境工学会
雑誌
生物環境調節 (ISSN:05824087)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.185-190, 1995

トマト (品種'レディファースト') 果実の糖含量とショ糖合成・ショ糖リン酸合成酵素活性に及ぼす炭酸ガス施用の影響について検討した.生育申に炭酸ガス施用を行った果実重量, 全糖, 還元糖は無施用区よりも有意に高かった.ショ糖合成酵素活性は開花後50日目まで施肥トマトで高く, その後急激に減少したが, 無施肥区では徐々に減少した.ショ糖合成酵素活性の減少はショ糖濃度の減少を伴った.処理間のショ糖濃度とショ糖合成酵素活性の間に有意差は認められなかった.ショ糖リン酸合成酵素活性は, 生育中比較的一定であった.
著者
松井 年行
出版者
香川大学農学部
雑誌
香川大学農学部学術報告 (ISSN:03685128)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.p161-167, 1980-03
被引用文献数
1

白下糖に見いだされた無機成分, 有機酸, 遊離アミノ酸を精製白糖に加えて, シェッフェ, ブラッドリー, ケンドール法に従って官能検査を行なった. 無機成分を精製白糖に加えた時, KCl等と無添加の白下糖の間にすべての方法で有意差があった. cis-アコニット酸と他の試料間の関係では, ブラッドリー法によって5%の危険率で有意差があった. アミノ酸のすべての試料間に, すべての方法で有意差がなかった.
著者
アグレバンテ ジヨセフイン 松井 年行 北川 博敏
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.441-444, 1991
被引用文献数
7

60%エタノール(10ml/12果実)処理でバナナの追熟が2~3日促進された.しかしながら,1000ppmエチレンでは,もっと急速な果皮の色調,糖,有機酸の変化をもたらした.HPLCでショ糖,グルコース,フラクトースを同定した.追熟でこの三つの糖すべてが増大し,ショ糖は追熟の全段階で一番含量が高かった.ショ糖の増大は,グルコース,フラクトースよりも先行し,グルコースーフラクトースの割合は,追熟期間中すなわち初期(緑色)から貯蔵の9日目又は14日目まで,ほぼ一定であった.リンゴ酸とクエン酸は緑熟果(カラーインデックス1)で同じ含量であったが,リンゴ酸は追熟果で初期段階の2~3.6倍に増大し,含量の多い有機酸となった.<BR>クエン酸は過熟果や老化果でだけ増大した.
著者
アグレバンテ ジョセフィン 松井 年行 北川 博敏
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.38, no.6, pp.527-532, 1991
被引用文献数
7

エタノール及びエチレン処理による追熟バナナの軟化,呼吸,ペクチンメチルエステラーゼ,ポリガラクチュロナーゼ活性の効果と全ペクチン,水溶性ペクチン全量の変化について検討した.果皮色の着色,全可溶性固形物(全糖として)と酸度も同様に測定した.エタノールはバナナの追熟を促進したが,エチレンより効果は少なかった.エチレン及びエタノール処理とコントロール果実の呼吸ピークは貯蔵後4, 8, 11日に各々見られた.果実はCO2ピークのすぐ後で可食熟度となり,この時の処理区の硬度はコントロールと同じようになった.果実が軟化するにつれて,ポリガラクチュロナーゼ活性は増大し,全ペクチンは減少,水溶性ペクチンは増大した.ポリガラクチュロナーゼ活性はクリマクテリック前期で低く,クリマクテリックで増大し,後期で前期の17~18倍に達した.コントロールは追熟が遅く,ポリガラクチュロナーゼ活性は処理果実よりも常に低かった.ペクチンメチルエステラーゼ活性と硬度の減少との関係は少なかった.全可溶性固形物は追熟中20~22%に増大し,その増大はエチレン処理で最も早く,コントロールで最も遅かった.硬度は各区においてわずかに増大した.
著者
Mahmood Hassan 藤目 幸擴 松井 年行 奥田 幸延 鈴木 春雄
出版者
京都府立大学
雑誌
京都府立大学学術報告. 人間環境学・農学 (ISSN:13433954)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.39-43, 2000-12-25

ワサビ'だるま-3号'について形態的観察を行った。ワサビは日本など温帯アジア原産植物で, アブラナ科に属し, 宿根性である。通常葉と茎の基部が可食部として収穫される。可食部は通常根茎と呼ばれることが多いが, 肥厚して短縮化した茎である。肥厚した茎は地中で成育することが多い。葉柄の基部も肥厚している。いくつかの子株が茎の基部から伸張して, 繁殖に用いられる。花には4枚の白色の花弁, 6本の雄ずいと1本の雌ずいがある。
著者
松井 年行 北川 博敏
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.33, no.10, pp.740-743, 1986

本報告では,サトウキビの2品種,'竹蔗'と'N:CO'の茎と葉のcis-アコニット酸とリンゴ酸の季節変化について報告した.研究の主目的は,これらの酸とショ糖含量にもとついて収穫の最適時期を決定することである.cis-アコニット酸は,両品種の茎において10月に最高値を示した.一方,両品種の葉においては,8月に最高値を示した.リンゴ酸は,'竹蔗'の茎においては11月に最高値を示し,'N:CO'の茎では10月に最高値を示した.'竹蔗'サトウキビの最適収穫時期は茎における最高のショ糖とcis-アコニット酸含量から10月になると考えられる.
著者
松井 年行
出版者
Japan Society for Bioscience, Biotechnology, and Agrochemistry
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.51, no.12, pp.663-668, 1977
被引用文献数
1

和三盆糖廃糖蜜中の非透析性色素から得られた褐変色素を精製して次の結果を得た.<br> 1) 透析,DEAE-celluloseカラムクロマトグラフィーで9分画の色素F1~F9に分画し,さらにSephadex G-75によってタンパク質,多糖類を除去して精製した.メラノイジンはSephadex G-75で再クロマトグラフィーの結果,フェノール-硫酸,Lowry-Folin,および440nmの比色の結果,ほぼ同一クロマドパダーンを示したことから精製は十分であると考えられた.なおF2~F8はレダクトン陰性であった.<br> 2) 和三盆糖廃糖蜜め各色素F1~F8を塩酸で加水分解するとグルコース,フラクトース,キシローズ,アラビノース,ガラククトースを得たが,廃糖蜜中の遊離糖はシュークロース,グルコース,フラクトースであった.和三盆糖廃糖蜜の各色素F1~F8の塩酸加水分解で得られたアミノ酸は含量の多い順にグルタミン,アンモニア,アスパラギン酸で,廃糖蜜中の遊離アミノ酸は,アスパラギン,アスパラギン酸,アラニンでそのパターンはアミノ酸,糖ともかなり相違したものとなった.<br> 3) FITC-Dextran 3, Dextran T-10, Dextran T-20を標準物質としてSephadex G-75により測定した廃糖蜜の各色素F1~F8の推定分子量は,F1=9000, F6=14,000, F2=16,000, F4=18,500, F5=19,500, F3, F8=24,000, F7=29,000,となった.<br> 4) IR, ESRの吸収パターンはF2~F.8ともよく似ていた.醤油等のメラノイジンパターンともほぼ同じであった.<br> 5) log moleculer wefightとlog 0.33%1cmE<sub>440</sub>nmの間にほぼ直線関係が見られたが,分子量の大きいものが必ずしも濃色とならなかった.
著者
松井 年行 奥田 延幸 小杉 祐介
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.499-503, 2002-07-15
被引用文献数
1

カイラン20品種の遺伝的関係を12種類の12塩基プライマーと, それら2種類のプライマーを組み合わせて用いたRAPD法により検討した.DNAフィンガープリントの多型性によってカイランの品種は3グループに分類された.第1グループは9品種で, 'Large leaf kailaan'(圓葉白花)の様な白花で縮葉の品種群(8品種)並びに白花か黄花である'Nanjing huanghua (huang)'(南京黄花(黄))の品種群(1品種)を含んでいた.第2グループは6品種で, 'Huanghualenye'(黄花)の様な黄花で濃緑葉の品種群(2品種)と'Huanghuagelin'(黄花格林)の様な黄花で淡緑の品種群(4品種)に分類された.第3グループは5品種で, 白花か黄花の品種の'Nanjing huanghua (bai)'(南京黄花(白))と'Hei'(黒)や'Small leaf kailaan'(尖葉白花)の様な白花で平滑葉の品種群(4品種)に分類された.また, 白花カイランが中国本土から台湾へ広がる過程で, 黄花カイランへ分岐したことが示唆された.