著者
ブッシュネル ケード
出版者
日本笑い学会
雑誌
笑い学研究 (ISSN:21894132)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.17-32, 2017 (Released:2018-01-13)

本研究では、会話分析の手法を用いて、日本語を第2言語とする観客が落語会でいつ、どのように笑うか、また笑うことによってどのような知識を主張するか検討する。データは外国人留学生向けに行われた落語会で収集したものである。分析では、①外国人の観客向けの落語会で演じられていた落語の構造的特徴である「ボケ+ツッコミ」というのがいかに笑いを適切な位置に産出するための探索の枠組みとなり得たかを示し、そして②観客、及び落語家を含める参加者がどのように「ボケ+ツッコミ」の出現によって可視化される「笑う位置」に「笑う」という行為を協同達成するかを示す。最後に、Sacks(1989)のアメリカ英語における冗談に関する研究と比較し、「笑う位置に笑う」という行為が、笑える要素を「理解した」という主張とどのように関わるかを検討していく。
著者
酒井 たか子 ブッシュネル ケード 山田 亨 柳家 さん喬 亀井 敦郎 菫 然
出版者
筑波大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011-04-28

落語は日本独自のユニークな形態を持つ話芸であり、日本文化のエッセンスが凝縮されているが、日本語学習者にとって難しいと敬遠されがちである。日本語学習者の笑いを中心とする理解を明らかにするために、研究材料の作成および理解を分析するための方法を検討した。研究材料は、留学生の聞き手を対象とした約20時間に及ぶ映像、音声を収集した。江戸落語・上方落語、新作落語・古典落語、初級対象・中上級対象とバリエーションを持たせ、映像の編集、文字化を行った。学習者の理解を測るための方法として、会話分析の手法のほか、アンケート、絵による表出などを実施し、その有効性を明らかにした。